あの映像パーツやエフェクトの名称は?素材・チュートリアル探しにも役立つ動画編集用語

After EffectsやPremiere Proの基本操作ができてくると「〇〇みたいな動画を作りたい!あれ、どうやってやっているの?」という疑問が出てきますよね。動画編集に限らず、基本以上の部分になると自分で調べて学ぶ割合が増えてきます。

そのときに問題なのが、調べたい“アレ”の名前がわからないこと。
なので、今回は目的のものが探しやすくなるよう、よく使われる動画パーツやエフェクトの名称をまとめてみました。見本動画や、実際にどんな設定をしているかがわかるチュートリアル動画も合わせて紹介します。

テキスト・テロップ類の呼称

動画編集では、映像内で言われている言葉を文字にしたり、人名や補足説明を追加したり、タイトルを用意したりと、映像上にテキストを加えていくことが結構あります。

テロップ、スーパー

メインの映像の上に追加された文字などの情報を、テロップやスーパーと呼びます。
呼び方に厳密な決まり事があるわけではないので、人によって認識が違うこともあります。

テロップとは

日本では、テロップ=画面上に映し出された文字情報を意味する言葉です。

テロップ(英語:Telop)は、プロジェクタの一種で、アメリカ合衆国のGray Research & Development CompanyとCBSが1949年に実用化したテレビ放送用の静止画送出装置(オペーク装置)の商標。

――中略――

「テロップ」という語は「字幕合成にも用いられる静止画表示装置」の呼称であったものが、日本の放送業界では、全画面表示の静止画自体や、この技術を応用した字幕表示技術、そしてその字幕自体を指す一般名詞に転じた。

出典:テロップ - Wikipedia

カメラで撮影した映像に入り込んでいる文字以外……映像の説明や強調にために編集で追加した文字や、字幕など、後入れした文字は全てテロップと言っても間違いではありません。
下記で紹介する「字幕」や「コールアウト」なども、テロップという大きなグループの中にある種類と言えます。

テロップやスーパーという言葉は、かなり多くの要素を含みます。
人によって、映像に合成する文字の呼び方は様々ですので、打ち合わせなどでは認識のすり合わせが出来ると良いですね。

●テロップベース

テロップベースとは、文字の下(背面)に敷く、色のついた帯などのオブジェクトのこと。
座布団(ザブトン)とも呼ばれます。

文字を目立たせたい時、文字を読みやすくしたい時に使います。

スーパーインポーズとは

スーパーインポーズ(superimpose)とは、映像に文字や図などを重ねること、または重ねたもの。簡単に言ってしまうと合成、二つ以上の画面を重ねて一つの画面を作ることです。

フィルムに焼き付けて合成していた時代には、手法でテロップやスーパーを呼びわけていましたが、現在はほぼ同一です。例えば、画面の4隅に配置されている番組名やコーナー名は“サイドスーパー”と呼ぶ方が多いですが、サイドテロップと呼ぶ方もいます。

字幕、キャプション、サブタイトル

字幕とは

字幕は、映像の下部に表示される、映像の中でにある音を文字として表したもの
映像の上に文字を重ねますので、字幕スーパーと呼ぶ方もいます。

キャプションとは

キャプション(caption)はもともと説明文を意味する言葉。
映像業界では耳が不自由な人のために制作された字幕を指す言葉としても使われています。日本では“バリアフリー字幕”とも呼ばれている、セリフだけではなく効果音や環境音などの意味のある音情報を文字で表した字幕です。

ですので、日本ではキャプションと字幕を以下のように区分する方もいます。
ただし、呼び分けは厳密ではありません。

  • キャプション:映像の中で話されている言葉を、そのまま文字で表示したもの
  • 字幕:映像の中で話されている言葉を、別の言語で翻訳し表示したもの

サブタイトルとは

日本語で“サブタイトル”は副題にも使われますが、英語の“subtitle ”は字幕のことを指すのが一般的。キャプションが“ バリアフリー字幕”であるのに対して、サブタイトルはセリフやナレーションなど話されている言葉の文字表示です。

  • Caption:重要な音声(会話や行動)の内容を文字で記述したもの
  • Subtitle:セリフやナレーションを文字で記述したもの、翻訳した表示

ロール、クロール

画面の中を文字が流れる(画面を横切って移動する)ことをロールと言います。エンドロールやクレジットロールなどが代表的。
遠近感がついていますが、スターウォーズのオープニングロールなんかもそうですね。

このように画面を横断するような文字は、移動する方向で「ロール」と「クロール」と呼び分ける事もあります。

  • 垂直(上下)方向に移動する→ロール
  • 水平(左右)方向に移動する→クロール

TVの場合、横に流れるクロールはニュースの見出しや速報などで見かけることが多いです。

ローワーサードとコールアウト

ローワーサード

ローワーサード(Lower Thirds)とは、 装飾やモーションを付けたテロップのこと。
文字の視認性を上げるために、背景色を敷いているローワーサードが多いです。

ローワーサードは、上図のように人名や役職の表示によく使われています。
Web動画だと、SNSのアカウントのフォローを促すのに使ったりもしますね。

ちなみに、ローワーサード(Lower Thirds)は“下3分の1”を示す言葉。
ですが、配置する位置に関してはわりと自由。画面1/3より上にあっても構いません。

画面下部に表示するものをローワーサード(Lower Thirds)、上部に表示するものをアッパーサード(Upper Third)と呼び分けることもあります。が、アッパーサードという言葉を使う方はあまりいません。
アニメーションする、装飾要素がある文字=ローワーサードで検索したほうが、素材もチュートリアルも多く発見できます。

コールアウト

コールアウト(Callout)はイラストや映像の一部に線を引いて、説明を加えること。動画に限らず、紙ベースのデザインでも使われる言葉です。

動画ではこちらのような、ターゲットを示す ● や ◆ からシンプルな線を引いたデザインを良く見ますね。そのほか、矢印を引っ張って文字を書いたり、吹き出しをつけたりするのも、コールアウトに含まれます。

ウォーターマーク(透かし)

ウォーターマーク(watermark)は、画像や映像などのコンテンツに入れられる著作権表示のことを指します。動画や画像の端の方に入れられている、チャンネルやブランドのロゴを目にする機会も多いのではないでしょうか。

画像元:https://www.youtube.com/watch?v=iZN_EpcW5Zg

YouTubeの場合は、YouTube Studioに「動画の透かし」という設定があります。
が、出来るのは右下に表示される画像の設定だけ。

大きさにも縛りがありますし、映像自体にウォーターマークが入るわけではありません。なので「ウォーターマークを入れてほしい」「映像の最初から最後まで、このロゴを右上に重ねて」という要望もかなりあります。

チャンネルロゴのように目に見える形のウォーターマーク以外に、デジタルウォーターマーク(電子透かし)もあります。電子透かしは目に見えない形で、コンテンツ保護のための情報を埋め込む技術。著作権情報の埋め込み、不正コピーや違法アップロードなどの不正利用監視に使われています。

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トランジション・エフェクト

トランジションとは

トランジション(transition)は直訳すると「遷移」や「変遷」。
映像編集では、前のカットと後ろのカットをつなぎ合わせるために、つなぎ目に設定する効果(エフェクト)の事を言います。

どんなエフェクトを使ってトランジションを作るかは多種多様。
使用するエフェクトによって「スライドトランジション」や「グリッチトランジション」のように呼ぶこともあります。

プツプツと細切れの映像をただ繋ぐより、かっこよく見えますし、編集の手間もかかっているな~という印象になりますよね。上手く使うと違和感なく動画を最後まで見てもらえる、雰囲気がアップするなどのメリットがあります。

ただし、使い過ぎは厳禁。
不必要なトランジションが多く使われていると、見ている側としては「鬱陶しい」「酔いそう」「内容が入ってこない」などのデメリットもあります。普通のカットではなく、トランジションが必要かを見極めて、ここぞというときに活用しましょう。

基本的なトランジション7種類

1. ディゾルブ

ディゾルブ(dissolve)とは、1つ目の映像が徐々に消え、2つめの映像が徐々に現れるトランジションのこと。不自然さが少なく使い勝手も良いので、トランジションの中でも使われることが多い効果です。

ディゾルブの中でも、代表格と言えるのが前の映像が、次の映像に溶け込んでいくようにして切り替わる“クロスディゾルブ”。その他にも、PremiereProのエフェクト(ビデオトランジション)には何種類かのディゾルブが用意されています。それぞれの違いは、Adobeの公式サイトでご確認ください。

2. ワイプ

英祖で“wipe(ワイプ)”は「ふき取る」「拭う」などの意味を持つ言葉。
映像の世界では、wipe=元の画面を拭き取るように、次の画面が割んでくる画面切替の表現として使われます。

色々と表現や装飾はされますが、シンプルなワイプはこんな感じ。

3. スライド

スライドトランジションは、カメラを上下左右に振ったような演出を使ってシーンを切り替えます。

映像・カメラ用語では、カメラを振る向きによって呼び分けをしています。

  • パン / Pan Shot:左右に動かす
  • チルト / Tilt Shot:上下に動かす

このため、横にカメラを振ってシーンを切り替える演出をパントランジション、鞭で弾くように高速で切り替わるの意味で“ウィップ パン トランジション(Whip Pan Transition)”なんて呼び方もします。

4. ズーム

カメラのズームアップ、ズームアウトのような演出を使ったトランジションです。ワープトランジションと呼ばれることもあります。

基本は、以下のような流れで映像を切り替えます。

  1. 前の映像を拡大(ズームアップ)
  2. 次の映像へ切り替わり
  3. 縮小(ズームアウト)

5. スピン

スピントランジションは、カメラをぐるぐると回転させながら次のシーンに変わるトランジション。ズームイン/ズームアウトや、色ズレと組み合わせることもあります。

6. ブラックイン・ブラックアウト

真っ暗な画面から、徐々に映像が見えてくることをブラックインと言います。
反対に映像が徐々に暗くなり、真っ暗になって終わることをブラックアウトと言います。

7. ホワイトイン・ホワイトアウト

真っ白な画面から、徐々に映像が見えてくることをホワイトインと言います。
反対に映像が徐々に明るく、真っ白になって終わることをホワイトアウトと言います。

その他トランジションにも使われるエフェクト

グリッチ

グリッチ(glitch)は画像・映像・音声で、バグが起こった際に起こる“乱れ”のことです。
画面もしくはデジタルデータが破損していると起こる、ノイズや歪みを演出効果として作っている形です。TikTokのロゴもグリッチ系のデザインですね。

使い方によってサイバーな雰囲気になったり、古いフィルムやビタオテープ風のレトロな雰囲気になったり、ホラー調になったりと、様々な雰囲気を演出できます。

ライトリーク(フィルムバーン)

ライトリークやフィルムバーンと呼ばれるのは、以下のように画面に光を拡散させる手法。
日本語では「光漏れ」なんて言い方もします。

演出の一つとしても、光が強くなったタイミングでトランジションとしても使えます。

パーティクル

パーティクル(particle)とは直訳すると、小片、粒子を指す言葉。CGの世界ではたくさんの細かい粒子(3DモデルやCGオブジェクト)を発生させ、それらをコントロールする技術のことを言います。

粒子には様々な形状を割り当てることが可能。ですので、火の粉も雪も、キラキラも、紙吹雪っぽいものも、たくさん空間を漂う細かなアイテムは、総称して“パーティクル”。
画面全体のトランジションこそあまり使いませんが、文字やロゴなどのアイテムを出現させる・崩して消すのにも使われます。

そのほか

マスク

画像もしくは動画編集で言う“マスク(マスキング)”は、映像内の特定範囲だけを隠す・表示する機能です。
指定した領域だけを切り抜いたように表示させたり、映像内の一部分にだけエフェクトを適用したりすることが出来ます。

下のトラッキングと組み合わせて、顔にだけモザイクをかける、なんて時にも使います。

トラッキング

トラッキングとは、動画内のターゲットの動きに合わせて他の素材(画像、文字、エフェクトなど)を追従させる処理こと。動画編集ソフトでは、1フレームずつ素材の位置を設定しなくても、ターゲットを設定すると自動でこの追従設定をしてくれる機能もあります。

After Effectsの場合は、以下2つの方法でトラッキングを設定できます。

  • モーショントラッキング:被写体の動きに合わせてトラッキングする
  • カメラトラッキング:カメラワークに合わせてトラッキングする

モーショントラッキング

最も一般的なトラッキングと言えるのが、モーショントラッキング。
Premiere Proでも設定できます。

映像の中で動いているものに対して行うトラッキング(追従)です。人の顔や車のナンバーにモザイクを入れる、説明をつける、などで使うのはモーショントラッキングが多いでしょう。

カメラトラッキング

カメラトラッキングとは、映像を撮影したカメラの動きに合わせて、配置した素材を動かす技術。不動な物体に設定するトラッキング、と表現されることもあります。

映像に写っている空間に合成素材を馴染ませたいときに使うイメージです。
After Effectsでは「3Dカメラトラック」を使うとできます。

カラーコレクション/カラーグレーディング

カラーコレクションやカラーグレーディングと言われるのは、映像の色彩を補正・調整する作業のことです。

言葉を分けずに色補正=カラーグレーディングと仰る方も時々居ますが、カラーコレクションとカラーグレーディングはそれぞれ行う目標が違います。

カラーコレクション(カラコレ)

カラーコレクションは、肉眼で見た印象に近づけるよう、映像の色味を補正することです。

録画した映像は、カメラや撮影条件によって色味や明るさなどが変わってしまいます。
そのまま複数の動画を繋いで映像を作る、合成すると、違和感があるわけです。一本の映像作品にしたときに違和感がないよう、素材映像の色味を整えるのがカラコレです。

カラーグレーディング(カラグレ)

カラーグレーディングは、映像に臨場感や雰囲気を出すために行う色補正。自然な色味に補正するカラーコレクションに対して、カラーグレーディングはイメージを強調するために色味を“盛る”演出です。

カラーグレーディングでは、作品のテイストや映像のイメージに合わせてカラーを補正します。回想シーンなどで使われるセピア色の映像や、青緑(teal)とオレンジ色を強調させた“teal & orange”などシネマティックな色味にするのもカラーグレーディング。

ピクチャー・イン・ピクチャー

ピクチャー・イン・ピクチャーは、画面の中に小さな小さなウィンドウを用意し、メインの映像とは別の映像を表示させることです。
Picture in Pictureを省略して「PinP」や「PIP」と呼ぶこともあります。

バラエティ番組でスタジオにいる芸能人の反応を映したり、ゲームプレイ動画でプレイヤーが映ったりしている、小窓のような部分です。チュートリアル動画でも、下図のように解説者の方が映っているものが結構あります。

小窓/ワイプについて

日本のテレビ業界では、画面の端に表示されている別映像を小窓や“ワイプ”と呼んでいます。芸能人なども「ワイプに映った時のリアクションが~」のように使っているので、ピクチャー・イン・ピクチャーよりも“ワイプ”のほうが聞き馴染みがある・しっくりくるという方もいると思います。

ですが、ピクチャー・イン・ピクチャーをワイプと呼ぶのは日本語。
英語でwipeと検索すると、トランジションに使う演出が出てきますので注意しましょう。

スプリットスクリーン

スプリットスクリーンは、画面を2つ以上の部分に分割し、それぞれの部分に異なる映像や情報を表示する手法。同時進行していることを示すときや、比較・対比を表現したいときにも使われます。

小さな領域を使うピクチャー・イン・ピクチャーに対して、スプリットスクリーンは画面全体を使って映像を区切っているイメージです。

ここまで、よく使われている映像パーツやエフェクトの呼び方を紹介してきました。
もちろん、紹介した以外にもたくさんの表現があります。時代とともに新しいものも出てくるでしょう。自分が辞典になろうとするのは大変ですので、情報源を見つけておけると良いと思います。

例えば、紹介してきたYou Tubeの動画を見ると、関連動画などが出てきますよね。そういったところからも、映像用語や、英語での表現を知ることが出来ます。英語の素材サイトやチュートリアルは多いので、単語だけでもわかると検索力がかなり変わりますよ。

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