【After Effects】3Dカメラの使い方基礎、ヌルオブジェクトとの親子付けを解説

After Effectsにはコンポジション空間を撮影することが出来る、カメラレイヤー(3Dカメラ)という機能も用意されています。

が、このカメラレイヤー、慣れるまでは動きのイメージをしにくく、ちょっと厄介。思ったように動かないし、After Effectsの動きも重い……とイラッとしてしまうかもしれません。

初めて触る方は、簡単なオブジェクトを使って、カメラレイヤーの基本操作を試してみるのがオススメです。基本的な使い方と合わせて、カメラをより便利に使える“ヌルオブジェクト”とリンクさせる方法も解説します。

3Dカメラ(カメラレイヤー)とは

After Effectsでは、3Dレイヤーに対して視点効果をつけられる“カメラレイヤー”があります。
3Dレイヤーに対してのみ利用できる機能のため、3Dカメラという呼び方をする時もあります。

3Dカメラを使うと、コンポジション空間をどんな角度・距離で見た映像を、最終的に動画として書き出すかを設定できます。擬似カメラマンがコンポジションの周りを動いて、撮影してくれるようなイメージです。

3Dカメラを使えば、オブジェクト自体を動かさなくても、横から正面に回り込んだり、徐々にズームしていったりという動きが簡単に設定できるわけです。

3Dカメラを設定してみよう

カメラレイヤーを追加する

3Dカメラを使うには、3Dレイヤーが必要です。
練習用のコンポジションとレイヤーを作って、3Dカメラを設定してみましょう。

練習用コンポジションの作成

新規コンポジション作成から、分かりやすいコンポジション名をつけます。

簡単なシェイプを1つ追加。
作成したシェイプレイヤーの、3Dレイヤースイッチを有効にします。

カメラレイヤーの作成と設定

では、カメラレイヤーを追加しましょう。
レイヤーの新規 > カメラ、もしくは以下のショートカットキーで追加できます。

  • Windows:Ctrl + Alt + Shift + C
  • Mac:Command + Option + Shift + C

カメラ設定のウィンドウが表示されます。
作成後も変更ができますので、デフォルトのままで良いです。
種類が“2ノードカメラ”になっていることだけ確認して、OKを押してください。

カメラ設定の詳細は、Adobe公式の『After Effects ユーザーガイド』をご確認ください。

After Effects でのカメラ、ライト、目標点
https://helpx.adobe.com/jp/after-effects/using/cameras-lights-points-interest.html

3Dカメラの見方

カメラレイヤーが追加されても、下図のようにビューモードが“アクティブビュー”だけ状態だと、「カメラ?どこにあるの?」という表示になります。カメラレイヤー追加しても、見え方に変化はないですね。

カメラが分かりやすいように、コンポジションの表示を2画面に変更してみましょう。
片方の画面はアクティブビュー、もう片方をカスタムビュー1に設定。

そうすると、アクティブビュー以外のビューでは、カメラにが捉えている範囲を示す線が表示されます。上図だと、右側のビューに表示されていますね。

表示倍率を小さくしていくと、どこにカメラがあるのかも見えてきます。

カメラのところから伸びている3D軸を動かすと、アクティブビュー(カメラに写っている状態)の表示が変わることを確認出来ます。

カスタムビューを調整する

カメラの位置を動かしてみましょう。
とは言っても、上のアニメーションのようにカメラが見えるまで表示倍率を下げると、かなり小さくなるケースが多いです。作る映像によっては角度的に見にくい部分もありますし、コンポジションパネル上での操作もしにくいですよね。

カスタムビューでの表示は自分で好きな角度・位置に調整することが出来ます。
カスタムビューはビューカメラという、作業用のカメラでコンポジションを見ている想定。ビューカメラは制作している動画には全く影響せず、あくまでも作業しやすい“見え方”を作るものです。

ビュー(ビューカメラ)の調整には、通称カメラツールと呼ばれているツール類を使います。
カスタムビューを選択した状態で、WindowsはAltキー、MacはOptionキーを押すと、押し続けている間だけ、マウスカーソルがカメラのアイコンに変わります。

マウスカーソルがカメラの状態の時に、右・中央・左ドラッグでビューを調整できます。

それぞれの動き方は、以下のアニメーションをご確認ください。

オービット(回転)

Alt(Option)キーを押したまま、左ドラッグ。

オービットショット(Orbit shots)という被写体を中心に、カメラが円弧を描くように周囲を回る撮影技法を再現したような動きです。

パン(上下左右に移動)

Alt(Option)キーを押したまま、中央ドラッグ。

パン(パンニング/Panning)というカメラを固定したまま、フレーミングを水平方向や垂直方向に移動させる撮影技法を再現したような動きです。左右移動をパン、上下移動をティルトと呼び分けることもありますが、After Effectsではパンでどちらもできます。

ドリー(ズームの調整)

Alt(Option)キーを押したまま、右ドラッグ。

ドリー(Dolly)と呼ばれるカメラやカメラマンを乗せるタイヤ付きの撮影機台を使って、被写体に近付いたり遠ざかったりする撮影技法を再現したような動きです。

ビューカメラのリセット

ビューカメラを最初の状態に戻したい時はリセット出来ます。
ビューモードを切り替えるプルダウンを開き、下の方にある“カスタムビュー1のカメラをリセット”を使ってください。

カメラと目標点

見やすい位置にカスタムビューを設定できたら、カメラレイヤーの方を動かしてみましょう。

カメラの動かし方も、基本は3Dレイヤーと同じ。
トランスフォームにある目標点のプロパティは、カメラの“位置”を変えても中央に映し続けたいもの(主役)を設定します。ライトレイヤーで使った目標点と考え方は一緒です。

3Dレイヤーとライトレイヤーの基本操作は、下記記事をご確認ください。

2ノードカメラ、1ノードカメラ

カメラレイヤーを追加した際、カメラの種類を2ノードカメラにしていると、トランスフォームの上部に“目標点”と“位置”があります。

目標点を固定したまま、位置のX座標、Y座標を変更してもカメラに映る映像(アクティブカメラ)の表示は変わりません。

例えば、星のシェイプが横に流れていくようにカメラを設定したい場合は、目標点を変える必要があります。

ですが、目標点が変わってしまうのは、ちょっと複雑ですよね。

1ノードカメラを使った場合、目標点がないので位置変更だけで上のような動きは出来ます。
1ノードカメラに切り替えて動かすと、以下のようになります。

(カメラ設定の変更は、レイヤー名をタブルクリックすると出来ます。)

1ノードカメラの方がシンプルではありますね。
ただ、目標点が決められないので、被写体を軸にしたようなカメラの動きは作りにくいです。
これはこれで不便。

こんな時に使うのが、ヌルと呼ばれる特殊なレイヤーです。
ヌルを使うと、2ノードカメラで、1ノードカメラのような動きもできるようになります。

ヌルと3Dカメラの親子付け

ヌルオブジェクトとは

ヌルオブジェクトのヌルは“Null”。
プログラミングやコンピュータ関係では「何もない」という意味で使われている言葉です。

After Effectsでヌルオブジェクト(ヌルオブジェクトレイヤー)と呼ばれているものも同じ。表示されない=書き出す動画には映らない、透明で小さいレイヤーの事を指します。

ヌルを使って親子関係を設定する

ヌルオブジェクトは、レイヤーの動きをコントロールする際に使える便利機能のようなもの。
ヌルを使って他のレイヤーの動きをコントロールするためには、対象レイヤーをヌルに紐付ける必要があります。この紐付けはリンクや、親子関係を作る・親子付けをする、などと表現されます。

ヌルの追加

ヌルオブジェクトレイヤーを新規追加します。
レイヤーの新規 > ヌルオブジェクト、もしくは以下のショートカットキーで追加できます。

  • Windows:Ctrl + Alt + Shift + Y
  • Mac:Command + Option + Shift + Y

タイムラインパネルに、ヌルオブジェクトレイヤーが追加されます。
コンポジションパネルでは、ヌルのラベルと同じ色の四角がヌルオブジェクトです。

ヌルの並びにある、3Dレイヤーのスイッチも有効にしておいてください。

ヌルをカメラレイヤーの“親”にする

作成したヌルと、カメラのレイヤーを紐づけします。
レイヤースイッチ類の右にある、渦巻きのアイコン(親ピックウィップ)を使います。

カメラの並びの渦巻きアイコンをドラッグすると線が伸びます。
親として設定したいレイヤー、ヌルのところまでドラッグしていきましょう。
ドロップする(手を離す)と、“親とリンク”の欄がヌル1にかわります。

プルダウンで直接選んでも良いですが、レイヤーの数が増えると間違いが起きやすいのでピックウィップを使うのがお勧めです。

ヌルとカメラレイヤーの“位置”を比較

ヌルとカメラレイヤーをリンクする(親子関係にする)と、2つのレイヤーの位置プロパティを変えた時に、以下のような違いが出ます。

  • ヌルレイヤーの位置
    →カメラ単体を動かす(写す場所ごと変える)
  • カメラレイヤーの位置
    →目標点を中心にカメラを動かす

ヌルレイヤーの位置を動かすと、1ノードカメラで位置を動かしたときと同じ変化。
ヌルの位置が変わり、ヌルの“子”であるカメラもそれに付いていくように動きます。

カメラレイヤーの位置は今まで通り、目標点を中心とした2ノードカメラの動きになります。

こうしておくと、1ノードカメラと2ノードカメラ両方の機能が使える状態を作れます。
いちいち設定でカメラの種類を変えなくても良いですし、便利ですね。
ライトレイヤーも同様の方法で、位置を取りやすくすることが出来ます。

ヌルを親にした場合の、カメラ位置

ヌルレイヤーを親に設定すると、カメラレイヤーのトランスフォームにある“リセット”を使うとカメラに映る範囲がズレます。

これは、目標点や位置を取る時の基点が、ヌルオブジェクトの位置に変わったためです。
カメラを動かしていて、変な方向に向いてしまった…という時は、一旦、目標点と位置の、X座標とY座標をすべてゼロにすると整えやすいです。

3Dカメラでキーフレームを設定してみよう

作成したヌル+カメラレイヤーで、ちょっとしたアニメーションを作ってみましょう。 

一枚だけだと寂しいので、シェイプレイヤーを複製して増やします。
レイヤーの複製はCtrl + D(MacはCommand + D)で出来ます。

シェイプレイヤーの“位置”で、複製したレイヤーのZ座標(1番目の数値)を変更します。

それぞれ、シェイプの塗り色を変えておくと分かりやすいです。

次に、Z座標を変えた2つのシェイプで“位置”でX座標も変更。

位置の数値はこんな感じ。

ここからは、ヌルのトランスフォームを使います。

タイムラインの始まり(0:00f)でY回転にキーフレームを打ちます。
インジケーターを2秒地点に動かして、Y回転にキーフレームを追加。

0秒地点のキーフレームで、Y回転の角度を「45」と打ち替えます。

再生してみると、カメラが斜め横から正面に回り込んだようなアニメーションになります。

スケールでもキーフレームを設定してみると、以下のようになります。

アニメーションの速度(イーズ)を変えると、また印象は変わりますね。
スケール以外の、他トランスフォームプロパティと組み合わせたら……など、動かしてみると勉強になりますよ。

今回のように、少ないレイヤーでプロパティごとに数値を変えてみると、何がどう動くかのイメージを掴みやすいです。
イメージできると、チュートリアル動画などを見たときに、何をしているかが把握でき、自分の作りたいものにアレンジする方法も見えてきます。After Effects難しい…と感じたら、シンプルなところからやってみてください。

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