今回やること
前回のレッスンでは、自動文字起こしのデータからキャプションを作成しました。 このまま進めると、フルテロップと呼ばれる状態に近いですね。
今回の動画では、説明の要所、ポイントに重要な部分だけテキストを入れてテロップ(オープンキャプション)を作ります。 また、翻訳字幕のように全て同じテキストスタイルだと単調なので、テキストのスタイルに強弱をつけてみましょう。
キャプションから表示テキストを選ぶ
ピックアップ用のトラックを作成
タイムラインでキャプショントラック(C1)を右クリックして、「1つのトラックを追加」を選択。 設定のウィンドウで、前回のレッスンで作成したスタイルを選択してOKを押してください。
新しいキャプショントラック(C2)が追加されます。 こちらに、テロップとして採用するテキストだけを入れていきましょう。
キャプショントラックは1つしか表示(アクティブ)にできない仕様です。 次のピックアップやテキスト編集では、必要に応じて切り替えて作業してください。
テキスト表示するものを選ぶ
動画プレビューとキャプションを見ながら、テロップとして追加するテキストを選びます。
最初から真剣に考える、考え込んでしまうと時間がかかります。 まずは「あったほうが良いかな」という言葉のクリップを、どんどんC2に複製するのがおすすめ。
クリップの複製は、windowsならAltキー、Mac OSならOptionキーを押しながらドラッグ・アンド・ドロップするとできます。
必要かの最終判断は、次のテロップ割り・改行の調整時でもできます。 映像を流し見・聞き流しながら、サクっと進めていきましょう。
内容 | ショートカットキー |
---|---|
クリップの複数選択 | Shift + クリック |
クリップを複製 | Windows: (クリップを選択した状態で)Alt + ドラッグ |
MacOS: (クリップを選択した状態で)Option + ドラッグ | |
クリップを同じ時間に複製 | Windows: (クリップを選択した状態で)Shift + Alt + ドラッグ |
MacOS: (クリップを選択した状態で)Shift + Option + ドラッグ | |
再生 | L (プレビュー再生中に押すと、再生速度をアップ) |
停止 | K |
逆再生 | J (再生速度ダウン、逆再生) |
テロップ量・改行位置を調整する
表示させたいテキストがある程度決まったら、1画面に表示するテキストを決めていきます。 あわせて、必要のない言葉も削除していきましょう。
例えば、Lesson1の最初の部分。 「じゃん」は文字で要らないなと思ったら削除。
↓
キャプションのクリップは、機械的に分割されたもの。 ですので、このブロックにあるテキストの一部だけ使いたい、という事もあります。 下図のように、1画面で表示したいテキストが分割されていたりもするでしょう。
こうした部分を、見やすいように調節していきましょう。 Premiere Proの操作方法は、前回の『キャプションの編集・調整』と同じです。
話しているには良くても、そのまま文字にすると違和感がある・わかりにくい部分もあります。 文字だけ見ても内容がわかるように、テキストは映像内の言葉から変えても良いです。
このあたりは、ひらすら作業、作業、作業。 シーケンスの終わりまで、キャプションの調整が必要な箇所を整えていきます。
キャプションをグラフィックに変換して装飾
テロップとして挿入したいテキストが揃ったら、動画の文字入れは一段落。 シンプルなテロップで良い場合は、そのまま書き出しに進むこともあります。
ただですね、せっかくなので、もうひと工夫してみましょう。 “キャプションをグラフィックにアップグレード”という機能を使用します。
キャプションをグラフィックにアップグレード
“キャプションをグラフィックにアップグレード”するには、対象のキャプションクリップを選択状態にする必要があります。
今回はC2トラックにある全てのクリップが対象。 トラックの前方選択ツールで、一番最初(左)のキャプションクリップをクリックすると楽です。
Shiftキーを押して、カーソルが矢印1つの状態でクリックすると、1トラックのみを対象にできます。
キャプションクリップを選択したまま、グラフィックとタイトルメニューを開きます。 “キャプションをグラフィックにアップグレード”を選択。
C2トラックが空になり、ビデオトラックに移動したような状態になっていれば成功です。
ビデオトラックに移動したキャプションクリップは、グラフィッククリップに変換されています。 文字の打ち替えも、テキストパネルの“グラフィック”タブに変わるので注意してください。
グラフィッククリップにすると何が良い?
キャプションクリップには、エフェクトを適用できません。 キーフレームないので、アニメーション表現は一切設定できません。
グラフィッククリップにすると、エフェクトの追加・アニメーション設定が行えるようになります。
また、テキストのスタイルもキャプションは“トラックスタイル”で1つ選べるだけです。 何箇所か文字色を赤くしたい場合、個別に1つずつポチポチと変えていくのは面倒。
グラフィッククリップだと、クリップ毎にスタイルを選べます。 テンプレートのように、いくつかスタイルを保存しておけば、ワンクリックで変更できますよ。
更に強調するテキストスタイルを作る
テキストの中でも、特に重要なものを目立たせるようにスタイルを変更してみましょう。 レッスン1の最初「アルゴリズムです」でやってみます。
クリップを選択して、エッセンシャルグラフィックスパネルで変更していきます。
サイズを大きくして、文字の塗り色・境界線を変更しました。
境界線を太くすると、角が尖って変になりますね。 こんな時は、レンチアイコン(グラフィックプロパティ)から以下2つを設定てください。
- 線の結合:ラウンド結合
- 線端:丸型線端
設定ができたら、他でも使えるようにスタイルを保存します。 スタイルのプルダウンを開いて、スタイルを作成...を選択。
分かりやすい名前をつけて保存してください。 以下では「赤の強調文字」としました。
他にも強調したいテロップ(グラフィッククリップ)があれば選択。 スタイルで、作成した「赤の強調文字」を適用していきます。
テキストスタイルを切り替えるだけなので、楽ですね。 何パターンかスタイルを作成しておけば、テロップのバリエーションが簡単に設定できます。
テキストについての補足
テキストは、ダイレクトにビデオトラックに追加していくこともあります。 映像内の音声がメインの文字入れでも、キャプションからだと選択・調整に手間がかかるな、と最初から手入力する場合もあります。
また、モーショングラフィックステンプレートなど、最初からそちらで用意されているテキスト欄に入力する必要がある事もあります。
どの方法で文字を入れるか、キャプションをどこで区切るかなど、使い分けは経験と慣れが重要。 何度かやっていると「こっちのほうが楽」「早くできそう」というのがわかってくるので、色々と試してみてください。
モーションテンプレートといえば、『PREMIERE PRO動画編集基礎 Ⅱ』やブログ記事で紹介したPremiere Composerもありますね。
一緒にインストールされた方は、そちらをワンポイントに使ってみても良さそうです。 先生の名前表示など、横からぬるっと出てくる演出もよく見かけます。
色を変更したり、2つ重ねて使うこともできます。
実習
前回作ったキャプションをベースに、必要箇所のみのテロップを作成してください。
Lesson3シーケンスまで全て行うと、結構時間がかかると思います。 時間が確保できる方は、手を慣らす練習としてやってみてください。 全部やるのは時間的に厳しい方は、Lesson1シーケンスで最低5箇所に文字を入れてみてください。