シーケンス作成の復習
シーケンスの概要
シーケンスは、動画や音声・テロップなどの素材を並べるためのベースとなる機能です。
大まかには、以下の2つを設定しています。
- 動画設定:映像を編集・書き出しするための設定(フレームサイズなど)
- タイムライン:実際の動画で表示する素材や効果の設定
Premiere Proではシーケンスがあってはじめて、動画編集を進めることができます。
シーケンスを作成する
では、早速シーケンスを作成しましょう。 以下のショートカットキー、もしくはPremiere Proのメニュー上から、新規シーケンスを作成ができます。
- Windows:Ctrl + N
- Mac:⌘ + N
新規シーケンスの設定ウィンドウが表示されます。 YouTubeなどのWebにアップロードする動画の場合は、プリセットAVCHD1080pの中から選ぶのと無難です。
AVCHD1080pは解像度(フレームサイズ)1920px × 1080px 、FHD画質の規格。 末尾の30や60はフレームレート、1秒あたり何枚の画像を切り替えて動画にするかの設定になっています。 今回は「AVCHD1080p30」にしましょう。
補足フレームレートに関して
フレームレートの数値は、大きいほど動画の動きが滑らかになります。
ただし、ファイル容量が大きくなり、編集・再生をする際にPCに負荷がかかります。
視聴者側にとっても、回線状況によっては転送が追い付かずに映像が中断してしまうなど、メリットばかりとは言い切れません。
肝心の“滑らかさ”に関しては、映像次第。
スローモーションにしない限り、あまり差を感じられないケースもあります。例えば、今回のような講義動画であれば、30fpsでもカクつきは感じないでしょう。一般的なテレビ番組も、30fpsのようです。
反対に、1秒間での動きが多い(早い)スポーツやゲーム、滑らかな動きを表現したい場合は60fpsを選ぶこともあります。
シーケンスプリセットの選択以外は触らず、右下の「OK」で新規シーケンスを作成して下さい。
シーケンスのネストについて知る
シーケンスのネストとネスト化する方法
Premiere Proで動画編集をしていくにあたって、シーケンスのネスト化(ネストシーケンス)という言葉がよく出てきます。 これは、シーケンスの中に、シーケンスを入れるという方法です。
シーケンスをネスト化する方法
シーケンスをネストする方法は、大きく2つあります。
1.タイムラインにシーケンスを配置する
一つは、シーケンスAのタイムラインに、シーケンスBを配置する方法。 映像などのクリップと同じく、ドラッグ・アンド・ドロップでシーケンスも配置できます。
2.選択したクリップをシーケンスにする
もう一つは、まとめたいクリップを選択してシーケンスを作成する方法です。
クリップを選択して右クリック、表示されるメニューから「ネスト...」を選びます。 そうすると、選んだクリップをまとめたシーケンスを作成し、ネストシーケンスとして置き換えてくれます。
ちなみに、右クリックメニューでひとつ上にある「サブシーケンス」も、選択したクリップのみでシーケンスを作ります。 「ネスト...」と違うのは、元のシーケンス上では作成したシーケンスに置き換えられないことです。
シーケンスをネスト化するメリット・デメリット
シーケンスをネスト化するメリット
【一括してエフェクトを適用できる】
ネスト化されたシーケンスは、1つのクリップのように扱われます。 このため、シーケンス全体にカラー補正などのエフェクトや、速度調整のような調整・変更をかけることが出来ます。
PhotoshopやIllustratorで言うところの、グループ化に近いイメージです。 複数のクリップに同じ編集をしたい場合は、一度設定するだけで済むので便利ですね。
【タイムラインが見やすくなる】
ベースの映像、PinP(ワイプ)、フレーム、映像名、アニメーションさせたいテロップ……などなど、使用するクリップ数が多くなると、タイムラインは縦長になりがち。また、長尺になれば横にも伸びていきます。 トラック部分をスクロールしたり、拡大率をこまめに変えて作業するのは、けっこう面倒。
ネスト化しておけば、シーケンスが使うトラック数は1つ。 ネストにしたシーケンスを開いて編集すれば、時間が短いので横方向も見やすいかと思います。 全体的に、タイムラインがスッキリして見やすくなるでしょう。
シーケンスをネスト化するデメリット
- シーケンスの数が増えて、分かりにくくなる
- ちょっと直したい時に、ネストされたシーケンスを開くのが面倒
ネスト化した部分を編集したいときは、ネストされているシーケンスを開かなくてはいけません(プロジェクトから開く or ネスト化したクリップをダブルクリック)。何層にも入れ子状態になっていると、該当のシーケンスを開くのが大変になります。
また、ネスト化しただけシーケンス数が増えていきます。 整理や命名がしっかり行われていないと、プロジェクトパネルが見にくく、分かりにくくなってしまします。
変更したい内容があるシーケンスがわかりにくいので、複数階層のネスト化は嫌う方もいます。 必要最低限を心がけると良いでしょう。
制作する動画のシーケンス設計を考える
まず、動画構成の要望をもう一度見直してみましょう。
動画構成の要望
各レッスンごとの動画、全体をまとめた1本の動画、両方を書き出せるようにして下さい。
全体を1本の動画にまとめる時は、オープニングとエンディングにアニメーションをつけます。 動画の流れは、以下表のイメージです。
大区分 | 内容・メモ |
---|---|
総オープニング |
N次元タイトル.aepのTitle_Full ※全体を1つの動画にまとめた時のみ
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Lesson1 |
アルゴリズムとは
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Lesson2 |
ソートアルゴリズムの概念
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Lesson3 |
実践:バブルソート
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Lesson4 |
実践:クイックソート 撮り直す予定なので、編集少々お待ちください。 |
総エンディング |
N次元タイトル.aepのTitle_lesson ※全体を1つの動画にまとめた時のみ
|
書き出し基準で大枠を考える
Premiere Proでは、編集した内容を動画として書き出す時にシーケンスを選びます。 基本的には、書き出し=シーケンス単位です。 シーケンス内でイン・アウトを設定して部分的にも書き出せますが、たくさん分けるのは面倒ですよね。
最初から「レッスンごとに小分けした動画」と「全部を1本にした動画」の両方を書き出したい事が分かっていて、素材映像もレッスン単位で分けられている場合は、最初からシーケンスを分けておいた方が簡単です。
トータルすると30分以上と長めの動画になりますから、編集も楽でしょう。
以上のことから、今回は下図のイメージで大きまかにシーケンスを分けて進めていきます。
もちろん、編集を進める中でネスト化が必要な場合もあります。 最初に考えるのは、書き出し目的・編集のしやすさなどから大まかにでOK。 あとは臨機応変にやっていきましょう。
講義ビデオのシーケンスをネストする
ここからは、Premiere Proで制作中の講義ビデオで実際にシーケンスのネストを行っていきます。 復習も兼ねて、クリップの配置や
シーケンスに映像クリップを配置
プリセット「AVCHD1080p30」で新規作成したシーケンスに、素材映像のcam_algo_lesson1.mp4
を配置します。
プロジェクトパネルから、シーケンス(タイムライン)にドラッグ・アンド・ドロップしましょう。 映像がV1のトラック、音声がA1のトラックになるようにして下さい。
ドロップで配置しようとすると、以下のような警告が表示されます。 「現在の設定を維持」を選択してください。
クリップを挿入できたら、ちょっとだけ再生してみましょう。 プログラムパネルの映像が動き、音が聞こえていれば問題ありません。
シーケンス名の変更
管理しやすいよう、cam_algo_lesson1.mp4
を配置したシーケンスの名前を変更しましょう。
このシーケンスは「Lesson1」にします。
シーケンス名は、プロジェクトパネルでシーケンス名をクリックするだけで打ち替えられます。 Lesson1と入力して下さい。
シーケンスをネストしてみる
次に本題、シーケンスのネストです。 作成したLesson1のシーケンスを配置するために、「Master」というシーケンスを作成しましょう。
新規シーケンス作成を開いて、プリセットは「AVCHD1080p30」を選択。 ウィンドウ下部のシーケンス名部分は「Master」と打ち替えて下さい。
OKボタンを押して、シーケンスを作成します。
中身が空の、Masterシーケンスが開かれていることを確認して下さい。
Masterシーケンスのタイムラインへ、Lesson1シーケンスをドラッグ・アンド・ドロップ。 冒頭にオープニングが入る予定ですが、今はとりあえず先頭合わせてに配置してください。
シーケンスを配置したら、数秒で良いので確認します。 Lesson1シーケンスの時と同様に、映像・音声が問題なく再生できていれば成功です。
実習
ここまでの解説で行ってきた、シーケンスのネスト化をご自身のプロジェクトで行ってみて下さい。 手順は以下のとおりです。
- Lesson1シーケンスを新規作成する
- Lesson1シーケンスのタイムラインに、cam_algo_lesson1.mp4を配置
- Masterシーケンスを新規作成
- Lesson1シーケンスを、Masterシーケンスのタイムラインに配置
- Masterシーケンスを再生し、映像・音声を確認