前回のレッスンで行った、文字起こしベースの編集。 短時間で楽にカット編集が出来るのですが、文字情報だけを使ってカットすると、繋ぎ目が不自然になることもあります。
動画の流れによっては「不自然」「雑(汚い)」印象になってしまうことも。 自分の手で調整も加えると、より綺麗な編集ができます。
1:文字起こしベースで、インとアウトを手動調整する
文字起こしベースの編集を使いつつ、カット範囲を手動で微調整する方法です。
カット箇所
見本でカットする箇所と、インとアウトを手動調整する流れをご確認下さい。 操作のポイントについては、動画の下でも紹介します。
シーケンス | 素材動画(ソース)での時間 | カット内容 |
---|---|---|
Lesson1 |
00:03:47:17 ~ 00:04:00:00 あたり |
映像右下のマイクにぶつかり、よける |
操作の流れ
1-1. 文字起こしで範囲選択
テキスト > 文字起こしタブのテキストデータで、取り除きたい部分を選択します。 ここは、前回の文字起こしベースの編集と同じです。
1-2. ワークエリアのイン・アウトを調整
文字起こしタブで選択した部分が、タイムラインのワークエリアにイン・アウトとして表示されます。
このイン・アウトで囲まれた部分が、カットする(取り除く)映像。 範囲はテキストデータだけではなく、タイムラインの方でドラッグしても変更可能です。
この仕組みを使って、映像と文脈の両方が自然につながるポイントを探します。 完璧に繋がるところはないので、落としどころ(妥協点)を見つけるイメージです。
実際に切り取る前に、どう繋がるのか確認するのも良いですね。 インとアウトは、以下のショートカットキーを使って移動できます。
- インへ移動:Shift + I
- アウトへ移動:Shift + O
1-3. 抽出とチェック
切り取る範囲が決まったら、カットしていきましょう。 ショートカットキーの抽出(;キー)を使うと、一回で終わります。
少し前から再生して、映像を確認して下さい。 うまくいかなかった時は元に戻して、再びイン・アウトの位置を調整します。
2:文字起こしに頼らず、普通にカットする
前回のレッスンから文字起こしベースの編集で進めてきましたが、もちろん文字情報を使わずにカット編集をしても良いです。
発言が少なく、言葉がきっかけにならない映像もありますよね。 テロップの量は少なめ・入れる文字は注釈である、など自動文字起こしを使う必要がない場合もあります。
そんなときは、プレビューを確認しながらカット作業を進めていくというのもアリ。 別の作業中に「あ、ここ切ったほうが分かりやすい」というシーンを見つけちゃった時にも使えます。
基本のカット編集と方法
復習も兼ねて、Lesson1で下記の部分を、文字起こしタブを使わずにカット編集してみます。
素材動画(ソース)での時間 | カット内容 |
---|---|
00:12:47:40 ~ 00:12:53:28 あたり |
検索対象の「卵とか」を出すまでに、ちょっと悩む |
オーソドックスな方法としては、以下2パターンがあります。
- 最初から編集点を入れてクリップを切っていく
- イン・アウトで範囲を作って抽出する
文字起こしベースの編集を含め「絶対にこの方法を使うべき」という決まりはありません。 編集する動画の種類や、ご自身の進めやすさに合わせて、お好きな方法でカット編集を行って下さい。
3:ピクチャ・イン・ピクチャの場合(Lesson3)
Lesson3シーケンスでは、2つの映像クリップを同期させてピクチャ・イン・ピクチャを作っています。
以下表の部分を使って、複数のクリップがある場合のカット方法を見ていきましょう。 また、自動文字起こしが変、という時の直し方も紹介します。
素材動画(ソース)での時間 | カット内容 | デモ動画 |
---|---|---|
00:02:15:10 ~ 00:10:00:32 あたり |
コーディングのやり直し | 方法A |
00:12:49:12 ~ 00:13:29:30 あたり |
コードの説明、言い直し 正「この8行目のやつはですね」以降 |
方法B |
00:14:13:48 ~ 00:14:21:39 あたり |
コードの説明、言い直し 正「jっていうのが比較の対象になります」 |
文字起こしの誤変換調整 |
方法A:イン・アウトで範囲を設定し抽出
文字起こしベースの編集、もしくは手作業でも、イン・アウトで範囲を作って「抽出」する場合は、これまでと同じ操作でOK。 Lesson3シーケンスの前半、約8分間の映像を切り取ってみましょう。
まず、ソースから文字起こしを行います。
ソースクリップ(pc_algo_lesson3_バブルソート.mp4
)を選択して、文字起こし開始。
文字起こしが完了したら、Lesson3シーケンスを選択。
文字起こしタブで切り取りたい(やり直し前の説明)部分を選択し、抽出します。 レイヤーロックなどを設定していなければ、全てのクリップでインポイントとアウトポイントの範囲内が切り抜かれます。
方法B:ショートカットキーでの編集点追加など
ショートカットキーを使って編集点を行う場合は、選択しているクリップのみが対象になります。 同期した状態のまま(2つのクリップを同じ場所で)カットしたい時は、対象クリップをすべて選択状態にする、もしくは“編集点をすべてのトラックに追加”のショートカットキーを使って下さい。
- Windows:Ctrl + Shift + K
- Mac:⌘ + Shift + K
毎回クリップを複数選択するのが面倒、という時グループ化しておいても良いですね。
どちらの方法も、基本操作は1クリップの時と同じです。 同期ロックを外していた、クリップを選択し忘れていた……など小さなミスで、同期したクリップがズレないようにだけ気をつけましょう。
文字起こしのテキスト調整
lesson3シーケンスで、3つ目のカット箇所。 カットはどの方法でも良いのですが、その前にちょっとテキストパネルを見てみて下さい。
見本のプロジェクトでは「j」で良いところが、全て「JA」と文字起こしされています。 (※文字起こしの結果は変わることがあります。必ずしも「JA」になるわけではありません)
ここに限らず、発言とテキストが違っている箇所が結構あると思います。
環境音や話者の発音にも影響されますし、専門用語系になると精度は下がります。 日本語の場合は、人名などの漢字変換もありますしね。
文字起こしが正しくない部分に関しては、自分で直すことが出来ます。 ペンアイコン(アクティブなテキストを編集)か、テキストを直接ダブルクリックすると打ち替え可能。
今回の「j」が全て「JA」になっているような場合は、まとめて置き換えることも出来ます。
置き換えを使うには、まず左上の検索バーで、置き換えたいワードを検索。 そうすると、下に置き換えのための入力欄が表示されます。
補足文字起こしの修正について
文字起こしタブのテキストは、字幕(キャプション・サブタイトル)を作成する際などにも活用できます。
フルで字幕を入れたい、You Tubeなどで使う字幕ファイルを別途書き出したい、などの場合は、文字起こしタブにあるテキストをすべてチェック・修正しておいたほうが良いです。
ただし、今回の動画は「クローズドキャプション用のデータ不要」「テロップは適宜」と強調したい発言にのみ、文字を入れれば良いという形です。ですので、タブ内のテキストをすべて直す必要はありません。
使い方を試してみる、くらいの気持ちで1~2箇所やってみてください。
なお、肝言い直し部分のカットは、どの方法で行っても構いません。 切って繋げる部分も、話が繋がっていればOKです。お好きなところでカットしてみて下さい。
使用したショートカットキーまとめ
内容 | ショートカットキー |
---|---|
インをマーク | I |
アウトをマーク | O |
インからアウトまでを抽出 | ; (セミコロン) |
編集点を追加 (選択クリップ、再生ヘッドの位置に) |
Windows: Ctrl + K |
Mac: Command + K | |
編集点をすべてのトラックに追加 | Windows: Ctrl + Shift + K |
Mac: Command + Shift + K | |
前の編集点から再生ヘッドまで リップルトリミング |
Q |
再生ヘッドから次の編集点まで リップルトリミング |
W |
実習
Lesson1、Lesson2、Lesson3シーケンス、それぞれのカット編集を行って下さい。
Lesson1とLesson3に関しては、解説と一緒に操作された方は編集済みです。 黄色くハイライトした、Lesson2シーケンスのカット編集を行ってみて下さい。
シーケンス | 素材動画(ソース)での時間 | カット内容 |
---|---|---|
Lesson1 |
00:03:47:17 ~ 00:04:00:00 あたり |
映像右下のマイクにぶつかり、よける |
Lesson2 |
00:01:26;00 ~ 00:02:36:35 あたり |
電話がなってしまい、仕切り直す |
Lesson3 |
00:02:15:10 ~ 00:10:00:32 あたり |
コーディングのやり直し |
Lesson3 |
00:12:49:12 ~ 00:13:29:30 あたり |
コードの説明、言い直し |
Lesson3 |
00:14:13:48 ~ 00:14:21:39 あたり |
コードの説明、言い直し |
Lesson2カット部分は仕切り直して、説明をされているので重複している箇所があります。 前半「バブルソートでちょっと考えてみたいなと思います。」の後で切り、仕切り直し後の「ではですね、バブルソートの説明を~」に繋ぐと、やりやすいかと思います。
編集点(カットして繋いだ切れ目)のあたりで「プツッ」というような音が入ってしまう場合がありますが、これは気にしないでOK。 次回のレッスンで改善させます。