本格的なカット編集は一旦置いておいて、まずはベース映像を良くするための補正をクリップ全体に適用しましょう。
クリップを調整する
1. トリミング(最初と最後をカットする)
はじめに、Lesson1のシーケンスに配置した映像(cam_algo_lesson1.mp4
)の最初と最後をカットします。
これは、実際使わない部分を基準に映像や音声の補正をしたくないためです。
素材映像の最初と最後(イン/アウト)を決めるタイミングは、素材映像や編集者によっても異なります。
- クリップのベース補正時に行う←今回はコレ
- カット編集時に一緒に行う
- ソースパネルの方で、予めインとアウトを決めてしまう
トリミング箇所の確認
渡される映像の最初や最後には、以下のような余分な映像があることが多いです。
- カメラのピントや露光が合うまでの間
- (セルフ撮影の場合)配置につくまでの時間
- カメラを確認して、話し始めるまでの間
- 話し終わりから撮影を止めるまでの間
こうした、視聴者にとって不要な映像部分があれば切り落としていきます。
ポンと渡された素材映像の場合、最初と最後がどうなっているか分かりません。 クリップの最初あたり、最後よりも少し前あたりを少し再生してみて、トリミングが必要か、どこまでカットするかを考えます。
前後不要な部分のトリミング
実際にLesson1シーケンスでトリミングをすると、以下のような手順です。
上記動画でやっていたこと
まず、クリップの最初あたりを再生して切る部分を探します。 今回の映像素材だと「なんだっけ?」という言葉が終わったあたりが良さそうですね。
大体の目処がついたら、オーディオトラックの波形で、カットを入れられる範囲が絞れます。 見にくい場合は時間軸、A1トラックの高さを拡大して見てみて下さい。
カットを入れられる範囲内で、プログラムモニターの映像も合わせて確認。 自然な表情・良い表情のフレームを探します。
細かくフレームを見たい時は、右矢印キー、左矢印キーを使って1フレームずつ動かすと良いです。
今回の映像だと、00;07;10~00;07;15あたりが良いな、となります。 そうしたら、シーケンス(タイムラインパネル)が選択された状態でQキー(前の編集点までリップルトリミング)を押して、再生ヘッドよりも前の映像をトリミングします。
映像の終わりあたりも、同様に切っても問題なさそうな位置を探します。 その位置に再生バーを合わせたら、今度はWキー(次の編集点までリップルトリミング)を押して、不要な部分を削除。
このQとWのショートカットキーは使用頻度が高いので、覚えておくと良いです。
2. カラー補正をする
多くの場合、早い段階で色味の補正(カラーコレクション)を行います。 ただですね、今回の素材動画、露光が固定されていないようで明るさにムラがあります。
特にホワイトボードを背に撮影されている、cam_algo_lesson1
とcam_algo_lesson2
は顕著です。
結論から言うと、これはカメラ(素材映像)が悪いです。 均一になるよう直す場合、数フレームずつキーフレームを打って露光を調整するなど、気の遠くなる作業量になります。 ですので、露光・明るさは、カット編集で繋ぎ目部分が不自然になったときだけ直しましょう。
Lumetriカラーのパネルを開いて、ホワイトバランスだけ微調整します。 少し顔色が悪く見えてしまっている印象なので、ほんの少し暖色系に変えていきます。
3. 音声を聞きやすくする
素材映像をそのまま再生すると、ホワイトノイズのような雑音が入っています。 オーディオの方も少し調整して、聞きやすくしましょう。
Adobeがプリセットを用意してくれています。 自分でエフェクトを探して適用して~と複雑な設定しなくても、手軽に補正ができるので活用しましょう。
エッセンシャルサウンドのパネルを開きます。
プリセットから、会話 > ノイズの多い会話のクリーンアップを選びます。
少し待つとプリセットが適用されます。 再生すると、話し声の後ろで鳴っていた「ゴー」という音がなくなっていると思います。
Lumetriカラーと同じで、スライダーを自分で動かして調整することも出来ます。 解説ではプリセットの初期設定のまま進めますが、気になる部分があれば調整して下さい。
エフェクトコントロールの方を見てみると、オーディオの下に3つくらいエフェクト(fx)が追加されているはずです。 こうしたエフェクトを一括で設定してくれるのがプリセット。便利ですね。
これで最低限の、映像とオーディオの補正ができました。
エッセンシャルサウンドの注意点
エッセンシャルサウンドのパネルを使う時に、1つだけ注意点があります。
適用したプリセットを削除したい(エフェクトなしの音に戻したい)場合は「オーディオタイプをクリア」のボタンを使用します。 その下にある、ゴミ箱のアイコンを押さないように注意して下さい。
4. Masterシーケンスの確認
ここで、前回作ったMasterのシーケンスを見てみましょう。
ネストしたLesson1シーケンスの末尾、薄い色の斜線で表示されている部分があります。 斜線部分に再生ヘッドを合わせても、プログラムモニターは真っ黒ですね。
これは、Lesson1シーケンスでクリップをトリミングしたことが原因です。 前回挿入した時よりも、シーケンスの時間が短くなった=用意されている時間の中に“余り”がある状態です。
ネストされたシーケンスクリップは、中身に合わせて自動的にデュレーション(表示時間)が変わることはありません。 今回のように編集で表示させたい時間数が変わった場合、手動で整える必要があります。
とは言え、Lesson1シーケンスについても、まだ映像の途中でカットが必要な箇所があります。 現時点ではシーケンスの長さは整えずにそのまま置いておきましょう。 各レッスン(シーケンス)が決まってから、まとめてMasterシーケンスを作ると手間が少ないです。
シーケンスを複製し、クリップを置き換える
Lesson1と同じく、ホワイトボード前で解説を行っているLesson2のシーケンスを作りましょう。
1.シーケンスを複製する
Lesson1シーケンスを複製して新しいシーケンスを作ります。
プロジェクトパネル上で、Lesson1シーケンスをコピー・アンド・ペーストして複製。 シーケンス名をLesson2に変更します。
2.クリップを置き換える
クリップの置き換え
複製して作ったLesson2シーケンスをタイムラインで開きます。
タイムラインにあるクリップを、レッスン2の映像(cam_algo_lesson2.mp4
)に置き換えましょう。
WindowsならAltキー、MacならOptionキーを押しながら、既存のクリップの上にドラッグすると置き換えができます。
プロジェクトモニターの方にドラッグして「置き換え」を使っても構いません。 どちらの方法も結果は同じですので、やりやすい方法を使って進めて下さい。
デュレーションの調整
クリップは置き換わりましたが、デュレーションはLesson1と同じ長さのままです。
クリップの右端(末尾)をドラッグ・アンド・ドロップすると、映像素材の長さまで延長できます。 こちらの映像もトリミングが必要ですので、作業しやすいように限界まで伸ばしておきましょう。
シーケンスを複製した理由
シーケンスを複製して、置き換えて……と少々面倒なやり方に思った方もいらっしゃると思います。 複製したのは、Lesson1シーケンスで設定したトラックや、クリップに適用したエフェクトをそのまま引き継ぐためです。
シーケンスを新規作成すると、トラック名はデフォルトの“ビデオ1”などになります。 クリップに適用したエフェクトも設定し直すか、Lesson1シーケンスからコピー・アンド・ペーストしなければいけません。
シーケンスごと複製すると、こうした作業が必要ないわけです。 (同一シーケンス内でも、クリップを複製して置き換えをすることもあります)
もちろん素材映像や編集内容によっては、新規から設定したほうが楽な場合もあります。 手間がかからず、楽に出来そうだなと思った方法で進めて下さい。
オーディオに違和感があったら…
クリップを置き換えると、ラウドネス > 自動一致が効いていないことがあります。 「自動一致」をクリックすると有効化します。
音声が変だな、と思ったら確認してみて下さい。
実習
以下4つの手順でLesson1とLesson2のシーケンスを作り、配置したクリップのトリミングと補正を行って下さい。 解説と一緒にPremiere Proを操作されていた方は、4 だけ行って下さい。
- Lesson1のクリップの冒頭・末尾をトリミングする
- Lesson1の映像と音声を補正する
- Lesson2シーケンスを作り、タイムラインに
cam_algo_lesson2.mp4
を配置 - 配置した
cam_algo_lesson2.mp4
の冒頭・末尾をトリミングする
cam_algo_lesson2.mp4
の最後は、切るところに迷うような終わり方ですよね。
お好きなところで切って頂いて構いませんが、どうしようか困ってしまった方は以下のタイミングがオススメ。
- 「このまま動画見ていってください」直後
- 澤先生の「ありがとうございます」直後
- 撮影者さんの「ありがとうございます」直後
「素晴らしい」と言われつつ片付けをしているあたりは、要らないかなぁと思います。