YouTube動画のサムネイルは、自分の動画を見てくれるか否かの重要な分かれ目。 ユーザーの注目を集めるために様々な工夫がされています。
制作する時に何を意識すべき点、サムネイルの参考になるYouTubeチャンネルを紹介します。
YouTubeのサムネイルの基礎知識
YouTubeサムネイルとは
YouTubeでは、一覧表示時、マウスカーソルを重ねない状態で表示されている画像をサムネイルと呼びます。 ホーム画面のおすすめ動画、検索結果、動画ページのサイドバーや終了画面に出てくるもの、全てサムネイルです。
【ホームの一覧表示】
【動画ページ(終了画面)の表示】
こうして見ると、YouTubeはサムネイルだらけですね。
YouTubeのサイト/アプリ上では、タイトルなど、テキスト部分はあまり目立ちません。 同じような話題を取り扱った動画が並んだ場合、サムネイルで目をひけるか否かで視聴回数に大きな差が出るというわけです。
YouTubeのカスタムサムネイルとは
YouTubeのサムネイルには、以下2つのタイプがあります。
- 動画から自動抽出された画像から選ぶ
- 自分で用意した画像を設定する方法
後者の、自分で用意した画像のことをYouTubeでは「カスタム サムネイル」と呼びます。 動画の一番良いシーンを切り取ったものでも、動画の表紙として(動画に含まれていない)画像を作っても構いません。
そして、YouTubeではカスタムサムネイルの設定・選択がめちゃくちゃ重要です。
高い成果を上げている動画の 90% がカスタム サムネイルを使用しています。
引用元:YouTube ヘルプ
それは、そうですよね。 知りたいことを検索したとして、以下のような状態になったら……。 自然と3番目のサムネイルに視線がひきつけられた、という方が多いはずです。
大多数の方は、文字と画像が並んでいれば、先に画像に目がいきます。 更にYouTubeは、デスクトップでもスマホでも、一覧表示状態ではサムネイルが占める割合が大きいレイアウト。 サムネイルの画像を無視する、ということは出来ません。
視聴者が、見る動画を決める優先順位は、以下のように考えられます。
- 動画のサムネイル
- 動画のタイトル
- 視聴回数・投稿者
- 動画の説明(スマホだと表示されない事が多い)
どんなに良い動画でも、まず「視聴する」というアクションを起こしてもらわないと意味がありません。 このため、YouTube動画のサムネイル作成は極めて重要。前後左右にライバルのサムネイルがあるわけですから、自社メディアのアイキャッチ以上に、ユーザーの興味をひく工夫が必要になります。
※ カスタムサムネイルの登録は“確認済みのアカウント”のみ行えます。 まだ確認されていないアカウントでサムネイルを設定しようとすると、下図のようにアカウント「確認」への案内リンクが表示されます。画面の指示に従えば認証できるので大丈夫。
YouTubeのサムネイル作りに必要な3大要素
YouTubeのサムネイル(カスタムサムネイル)を作る際、以下の3つの要素が揃えるとクリック率は上がります。
- 視聴者の興味をひく文言
- 主役(人など)のビジュアル
- 目をひくデザイン
1.視聴者の興味をひく文言(文字情報)
大半のYouTubeサムネイルでは、画像に入れる文言が重視されています。 サムネイルに入れる文言は動画タイトル全く同じではなく、タイトルの補足、もしくはタイトルを強調するテキストが多いです。
一覧表示では、どの動画もタイトルは全て同じ大きさ・色で表示されます。 意識的に読もうとしていなければ、動画タイトルも結構スルーしてしまいがち。
ですので、サムネイルにインパクトがある、動画の内容に期待させるような文言を入れ、視聴者に注目してもらうわけです。 注目してくれた視聴者は、タイトルを確認する・動画を見るなど、次のアクションを起こしてくれるでしょう。
実際にYouTubeを見てみると、動画タイトルとサムネイルの文字が違うことが多いはずです。
サムネイルを作っていると色々なことを伝えたくなり、文字を詰め込んでしまいがち。
ですが、画像内にぎっちり文字が入ると、焦点が分散しやすく“注目してもらう”という目的から遠のきます。 コントラストを強くつけるなどのデザイン上の工夫ももちろんですが、掲載するテキストを厳選することも重要です。
2.主役(人など)のビジュアル
サムネイルは「どんな内容か」がイメージできることが大切です。 YouTubeの場合も、何についての動画かがパッと見てわかるビジュアルが求められるのは同じ。
サムネイルのビジュアル、登場する人やモノの知名度によっては、サムネイル内に文言がなくても十分な場合もあります。 文字を入れなくても、画像だけで視聴者の目をひける・注目してもらえるタイプですね。
代表的なチャンネルとして「YouTubeで最も視聴された猫」としてギネス認定された『もちまる日記』などが挙げられるでしょう。 多少、文字入れされているサムネイルもありますが、最低限。 主役(猫)の可愛らしさと、動画の内容が想像できるような画像で成立しています。
YouTuber歴代世界1位の年間収入記録で話題になったアメリカのYouTuber『MrBeast』。 こちらも、サムネイルに文字はほとんど使っていません。 何の話題か想像しやすく、かつインパクトの強いビジュアルで魅力的なサムネイルに仕上がっています。
ただ、今やYouTubeはプロや企業も多く参入する激戦区。 「再生回数100回超えは、チャンネル全体の1~2割」なんて言われているくらいです。
- 他SNSなどでフォロワーがたくさんいる
- サムネイルのビジュアルに自信がある
...などでなければ、文言と組み合わせて視聴者に訴えかける工夫をした方が確実でしょう。
3.目をひくデザイン
YouTubeのサムネイルは、ビジュアルと文言の2つをセットにすることで、視聴者の目にとまりやすくなります。 ですが、ただ動画の一コマに文字を入れたら良い、というものでもありません。
画像と文言を互いに引き立て合いながら、より魅力的に動画の内容を伝えるためには“デザイン”の力が必要です。 ここでのデザインとは芸術性が求められる“アート”ではなく、見た目の良さ・伝わりやすさを向上させるための工夫のこと。
デザインにも理論、テクニックがあります。 例えば、YouTubeサムネイルでは以下のテクニックが多く使われています。 * コントラスト * ジャンプ率
こうしたデザイン理論・テクニックを押さえるだけで、絵が苦手、学生時代は美術苦手だった……という方も良いサムネイルが作れるようになります。下記の講座でもデザインの基礎を紹介していますので、ご参照ください。
カスタムサムネイルの画像サイズ(解像度)
YouTubeのカスタムサムネイルを作る際、上のポイントとは別に押さえておきたいのが“画像の解像度”。 要は、サムネイルを作るための土台についてです。
土台が悪いと、どんなに良いサムネイルを作っても、画質が荒れてぼやけてしまったり、左右が真っ黒になったり、歪んだり……と残念なことになってしまいます。YouTubeが推奨している、サムネイルの規格に沿って作りましょう。
- 解像度: 1280x720(最小幅が 640 ピクセル)
- アップロードする画像ファイル形式: JPG、GIF、PNG など
- サイズ: 動画の場合は 2 MB 未満、ポッドキャストの場合は 10 MB 未満
- アスペクト比: できるだけ 16:9 を使用する
基本的にはYouTubeがおすすめする解像度(横幅1280 px × 高さ 720 px )で作ればOK。 サムネイルに設定した画像は、YouTubeが自動でリサイズして表示します。 ですので、上記以外のサイズにしたい場合はアスペクト比16:9を意識して作ると良いでしょう。
まずチェックしたい3タイプのYouTubeサムネイル
ここからは、YouTubeサムネイルの特徴を掴むのに役立つチャンネルを紹介します。 サムネイルは以下の条件を満たすものをピックアップしました。
- 日本国内向けのチャンネル、動画
- サムネイル内にテキストが入っている
- 主役のビジュアルがある(文字のみではない)
Youtubeのサムネイルと一口に言っても多種多様。 ここではジャンルを問わず、再生回数が多い動画でも使われているサムネイルを独自にデザイン・雰囲気から3タイプに大別して紹介します。
1.主役とキーワードを強調する
映像の主役と、ユーザーを引き付けるための文言を強く押し出したサムネイルは、日本のYouTubeでは定番中の定番。 YouTubeを利用されていれば、誰しもが一度は目にしたことがあるでしょう。
動画のワンシーン+強調文字
日本のYouTubeでオーソドックスと言えるのが、動画のワンシーンに、クッキリ見える強い文字をのせたサムネイル。 文字色は赤・青などくっきりした色、ゴールド風グラデーション、太めのフチをつけたものが多く使われます。
日本を代表するユーチューバー『Fischer's』さんや『HIKAKIN』さんのサムネイルでも、こちらのタイプが多く使われています。 目をひく赤文字が多く使われていますね。
「~してみた」などチャレンジ系だけではなく、企業や教育系のチャンネルでも、このタイプのサムネイルは使われています。 動画本編の雰囲気も、目立つサムネイルのテキストで要点も、両方わかるので視聴者にも親切と言えるでしょう。
週刊誌・吊り広告風デザイン
動画の主役を切り抜き、イメージビジュアルやテキストと組み合わせたサムネイルも多く使われています。 週刊誌の見開き特集、中吊り広告などにも通じる雰囲気で、ニュース系やビジネス系のチャンネルで多く見かけます。
中田敦彦さんは、ご本人も知名度の高い方。 更に『中田敦彦のYouTube大学』ではイメージビジュアルと組み合わせていたり、動画の内容と合う書体やカラーリングをされていたりと、サムネイルにもつい本編を見たくなる工夫がされています。
また、動画で取り上げるアイテムの画像主体でもサムネイルは作れます。 アイテムだけでも良いですし、下記の『サラタメ』さんのようにアカウントのイメージキャラクターイラストを使うと、他チャンネル(競合)と差別化が出来ますね。顔出しNGでも、やりようはあるのです。
2.映像(画像)主体の雰囲気重視
1はキャッチコピーなどの文言を意図的に目立たせるデザインでした。 反対に、映像、サムネイル用に切り出した画像がメインのサムネイルもあります。
文字は強調せず、さらっと入れられているタイプ。 映像(画像)の魅力や雰囲気が第一、映像を邪魔しないよう補足感覚で文字入れをするイメージです。
見て欲しい「主役」が料理のレシピ動画や、手芸など作品作り系に多くみられます。 ライフスタイル系、日常の雰囲気が大切になるVlog系の動画とも相性が良いです。
複数の画像をコラージュして、見た目にも“まとめ”たサムネイルもよく見かけますね。 特に〇〇レシピ4つ、6種の〇〇比較、などで使われていることが多いです。 視聴者は動画で取り上げている内容イメージしやすく、動画一本で様々な情報を知ることが出来る期待感・お得感もあります。
ちょっとタイプは違いますが『The FirstTake』も写真を生かしたサムネイル。 チャンネル全体の雰囲気も保っています。
アーティストさんの写真が良いのはもちろん、ラインと名前・曲名の入れ方が綺麗ですね。
ファンが少ない、無名の人が開設するチャンネルだと、このサムネイルはインパクトに欠けるかもしれません。 が、サムネイルデザイン、チャンネルの1つの完成形として見て損はないです。
3.メディア・雑誌の特集系
Webマガジン・特集記事のアイキャッチ、カルチャー系雑誌の特集ページやインタビューページのようなデザインも使われています。
同じ雑誌の特集でも、強調が強い“週刊誌・吊り広告風デザイン”よりは控えめ。 メディア(YouTubeチャンネル)のイメージを重視したデザインのサムネイルです。 上2タイプより、画像編集・加工のスキルも必要になります。
動画数が多いチャンネルでは、再生リストごとにサムネイルのトンマナを設定していることもあります。 以下の『NewsPicks』さんの再生リストは違いがわかりやすいですね。
画像元:https://youtube.com/playlist?list=PLDxonNcxMgrvH91u9lqaHyMEm1qp3nlz_
画像元:https://youtube.com/playlist?list=PLDxonNcxMgrvIQSDKCL4YvmMA6cJdEFrR
ECサイト『北欧、暮らしの道具店』さんのYouTubeチャンネルは、サムネイル全体に統一感があります。 更に、リストごとに再生リストのタイトル、動画タイトルの位置などが設定されていることもわかります。
画像元:https://youtube.com/playlist?list=PLEqLkMA6K-8c-vU6wua4CoCQn9mDBlHn2
もちろん、動画ごとに最も良いと思えるサムネイルを設定するのもアリ。
以下はアパレル企業『WOODY HOUSE』さんのYouTubeチャンネルです。 YouTubeらしいサムネイルも、前回作った複数の写真を背景透過して並べたタイプも、特集アイキャッチのようなタイプも…と色々なサムネイルが作成されています。
Webマガジンのようなデザインは、教育系・レッスン動画との相性も良いです。 1の“動画のワンシーン+強調文字”系のサムネイルより、レッスンや講座という印象が強くなります。
画像元:https://youtube.com/playlist?list=PL_tSJSFaZ-6n12qhdNBxKNgcKW9_C-1_3
こちらもレッスン系ですが、対談・インタビュー系のサムネイルにもなりそうですね。
画像元:https://youtube.com/playlist?list=PLINFE8v4DOhtASrxBS6Dm9C_PoqlbO8uL
このサムネイルデザインが正解、というものはありません。 他SNSや自社メディアと同じく、チャンネルとしてのブランディング、扱う内容、ターゲットユーザー層、競合との差別化……など様々な要因が関わってきます。
扱う内容や客層を考えながら、Youtubeのサムネイルを意識して見るだけでも勉強になります。