クライアントがWebサイトに求めていること、行う業務内容をはっきりさせるためにミーティングを行いましょう。話し合った内容は仕様書として形に残し、合意をいただくことで「やり直し」や「トラブル」を避けられます。
キックオフミーティング
キックオフミーティングは、プロジェクト(制作)開始時に行なうミーティングです。
キックオフミーティングではプロジェクトの概要や目的、達成目標を明確化するとともに、制作イメージの共有や受注者・発注者の役割分担なども決めていきます。 簡単に言えば、クライアントと制作者の認識の相違をなくすために行う打ち合わせです。
キックオフミーティングで話し合った内容を元に、仕様書を作成します。
1.制作条件等を話し合う 2.仕様書にまとめる 3.クライアントに仕様書を送る 4.承諾を得てから制作を行う
こうした手順を踏まえて制作を行うことで 「依頼したデザインテイストと全く違う」 「画像は用意すると言ったけれど、写真以外の図は作ってくれはずでは?」 のような、クライアントとの認識のずれによって起こるトラブルを予防できます。
押さえておくべきポイント
キックオフで話し合う項目は、ほぼ見積もりの際に行ったヒアリングと同じです。
クライアントによっては、聞かれていることがよくわからないという方もいらっしゃいます。ヒアリングの時点では未回答の部分もあったかもしれません。また、私達とは異なる認識で質問を捉えている場合もあります。
お互いの認識にずれがないかを確認し合いながら、条件を詰めていきましょう。

コンセプトやターゲットだけではなく、Webサイトのデザインイメージもクライアントと共通したイメージを持たるように話し合いましょう。
例えば「クールなイメージ」と言われても、人によってイメージするデザインには差が大きいですよね。曖昧な方針で進めててしまうと後々作り直しになる可能性もあるので、参考サイトをピックアップするなど明確なビジュアルを使って話し合いましょう。
仕様書を作成する
キックオフミーティングで制作条件等が固まったら、仕様書を作ります。
今回は小児歯科医院のサイト制作を請け負ったと仮定します。 見本と合わせてご確認ください。 なお、見本はコピーしてテンプレートとしてもご利用いただけます。

作成した仕様書では、下記項目を載せています。
- 委託業務名
- 契約内容
- 業務の目的
- 業務概要(業務範囲)
- Webサイト制作要件
- デザイン定義
- サイト構成図
- ページコンテンツ概要
- 制作スケジュール
- 同意書
なお、仕様書内にワイヤーフレームを含めることが多いですが、今回はワイヤーフレームは別立てにし、代わりにコンテンツ概要を入れてます。
これは、クライアントがWeb制作に関してあまり知識がないことを想定しているためです。 ページ割りを確認しておかないと、渡される文章などの素材が使えないものになってしまう可能性がある場合は、このような形で認識の共通化をはかります。
仕様書の項目をそれぞれご紹介します。
1.委託業務名 ~ 4.業務概要

1~3までの内容は、前回の契約書とほぼ同じです。 契約書の内容についての再確認、制作代金の決定を行います。 「直し」の回数についても、もう一度提示しておくことで後々トラブルになるのを予防しておきます。
4の業務概要については、仕様書第2条を具体的にした形です。 こちらで受け持つ業務は何なのか、クライアントの希望に添えるように会議を行いながら制作していく旨を記述しています。
5. WEBサイト制作要件 ~ 6. デザイン要点
ヒアリング、キックオフで得られた要件・要点をまとめます。

5-1.サイト要件の表では、サイト全体の概要と制作条件を記載します。
5-2.コーディング・機能要件の表では技術的な部分を記載します。 シンプルなWebサイト制作であれば、ヒアリングシートの項目・制作ルールの有無程度で大丈夫です。機能(システム)追加などが必要な場合は、今回の仕様書よりも記述項目が増えるでしょう。
6のデザイン要点ではデザインにまつわるご要望を記載します。 紙面で参考資料等を頂いた場合は、添付資料として別途追加します。 イラストなども請け負う場合は、参考サイトとは別に枠を作ると分かりやすいかもしれまん。
7. 構成図 ~ 8.ページ概要
Webサイトの構造図と、各ページのコンテンツ概要を掲載します。

これから原稿(サイト掲載文章)を用意して頂く場合は、今回のようにページで最も大切なこと、どんなコンテンツを掲載するのかをお聞きしてまとめると良いでしょう。 こうしておくことで、ページ内でコンテンツがねじれるなど、掲載内容のバラつきが押さえられ、スムーズに原稿のやり取りが出来ます。
既に原稿が用意されている場合は、ワイヤーフレームを作成して掲載すると良いでしょう。
9.スケジュール
クライアントに大まかな制作のスケジュールをお伝えします。

大まかな作業項目をスケジュールとして見える形にすることで、クライアントも制作の流れを掴みやすくなります。また、「どうなっているの?」「どこまでできたの?」とせっつかれることも少なくなるでしょう。
スケジュールの立て方
納期までに制作物を完成させる請負タイプであれば、作業工程を考え、納期から逆算する形でスケジューリングを行います。 見積書作成の際に考えた作業工程・時間数を見直して見ましょう。
納品までのスケジュール作成には工程ごとに作業開始日、作業完了日の情報を帯状グラフにした「ガンチャート」を使うことが多いです。Googleスプレッドシートのテンプレートにもありますので、お好みに合わせて作成してください。
ただし、WEB制作に詳しくないお客様であれば、仕様書掲載分は上図のように簡易的なものが良いです。細かく項目立てして厳密に日付を入れるのではなく「大体の作業目安」が分かるようにしましょう。
- どのくらいまでに、どこまで進むのか
- どのタイミングで打ち合わせが必要か
10.合意書
仕様書の内容で制作を行うことに合意してもらいます。

業務委託契約書で詳細を使用所に振る形にしていますので、仕様書の記載も重要な役割を持ちます。双方の合意のもとで作業をスタートした、という形を整えましょう。
まとめ
お仕事を受けることが決まったら、クライアントとミーティングを行います。 そのミーティングの中で、初回ヒアリングの内容を掘り下げ、サイトの目的・ページ構成・デザインイメージなどを詳しく話し合ってください。
作業内容を明確化し、クライアントと認識のずれがないことを確認するために、話し合った内容をまとめた仕様書を作成します。仕様書として明文化することで、クライアントも制作者も安心して制作をスタートできるでしょう。