今回作成するもの
ここまでで学んできたことを使って、以下のような先生の名前を表示するアニメーションを作成します。 ローワーサード(Lower Third)と呼ばれる、画面の下の方で情報を表示するタイプです。
ローワーサードの無料テンプレートなどもありますが、自分で作ると細かな部分にまで融通が効きます。 表示時間に制限があるとか、入れたいテキストが長すぎて入らない、というストレスも無くなりますよ。
基本デザインを作る
下準備と構造
今回も、制作はシンプルなシーケンスを使って行っていきます。
制作している映像と別に作る場合、シーケンスは制作動画と同じプリセットを使うのがおすすめです。 (実習で使っている題材動画だと、AVCHD1080p30 もしくは AVCHD1080p60 )
いつもの通り、V1トラックにはカラーマット(白)を配置。 表示状態で背景が白っぽい時、非表示にして背景が黒っぽいときの表示を確認します。
テロップでも、ローワーサードでも、最初に完成形のデザイン(表示)を作ります。
デザインをパーツに分解して、組み立てていきましょう。 今回の場合は、下図のようなイメージです。
クリップの作成
では、ローワーサード用のクリップを作っていきましょう。 テキストツールで「○○○株式会社 代表」と補足情報(所属・役職など)部分を入力。
エッセンシャルグラフィックスパネルを使って、文字の位置や大きさ・アピアランスを設定していきます。 文字裏の長方形も、今回は背景を使って作ります。
全体的な位置や大きさは、後からでも調整可能なので、大体で作って良いです。 画面が狭いから作業しにくい!という方は大きめに作ると良いでしょう。
背景を使ってテキストボックスを作ると、上下左右に同じだけ余白が付きます。 今回のデザインでは、下の余白は小さめで良いので、不要なところはマスクで隠しましょう。
マスクはエフェクトコントロールパネル、テキストの直下で設定できます。 “マスクの境界のぼかし”は0にしてください。
同しクリップ内にテキストを追加します。 テキストツールで「名字 名前」と入力。
位置やサイズ、アピアランスなどを設定してデザインに近づけます。
前回登場したエフェクト“Brightness & Contrast”で、グラデーションを付けたら完成です。
アニメーションを設定する
作成したデザインが、どのように画面上に現れ、消えていくのかを設定していきます。
1. シンプルなアニメーション
まず、全体がぬるっと出てくるアニメーションを設定します。 トランスフォームエフェクトを追加し、エフェクトのパラメーターとキーフレームを使って設定します。
ビデオエフェクト > ディストーション > トランスフォーム
2. 名前と補足情報をバラバラに動かす
上で作成したアニメーションは、デザイン全体にかかっていました。 名前、補足情報、それぞれが別のタイミング・方向から出現してくるように設定を変更してみましょう。
3. 消えるアニメーションを追加
最後に、ローワーサードが消えていく時のアニメーションを設定します。
出現とキーフレームの設定を逆に入力していく方法もありますが、Premiere Proには“キーフレームを反転”機能はありません(After Effectsにはあります)。全て反対に手入力していくのは大変ですし、消えるアニメーションにそこまで凝る必要もないので、簡単に設定していきます。
作成したアニメーションを活用する
作成したローワーサード用アニメーション(クリップ)を、講座映像のLesson1シーケンスに追加します。
イントロ・アウトロの指定
特に何の設定もしていない状態で、クリップの長さを変えるとキーフレームが切れてしまいますよね。
映像に合わせて、長さや表示時間を変えたい場合、このようにアニメーションが消えてしまうと不便です。 出現・消滅のアニメーション時間が確保されるように、以下の2つを設定しましょう。
- イントロの長さ:出現時に確保したい時間
- アウトロの長さ:消滅時に確保したい時間
どちらもエフェクトコントロール最上部にある、青色の長方形をドラッグすると設定できます。
最初と最後、キーフレームを途切れさせたくない範囲を設定しましょう。
イントロ・アウトロとして指定した範囲がある場合、クリップを伸縮させてもイントロ・アウトロ部分は保持されます。 使いまわしたいアイテムには、非常にありがたい機能ですね。
モーショングラフィックステンプレートとして書き出す
クリップの長さを変えてもアニメーションが維持できるようになりました。 今回の場合、クリップをそのままLesson1シーケンスにコピー・アンド・ペーストして長さを調節すればOK。
なのですが、再利用しやすいようにモーショングラフィックステンプレート化してみましょう。 他のプロジェクトでも使えるようになるので、この方法を覚えておくと便利です。
クリップを右クリックして、モーショングラフィックステンプレートとして書き出し...を選択。
名前と保存先を設定してください。 保存先は、お試しで作ったものが削除しやすいようにローカルドライブ(分かりやすい場所)を選ぶのがおすすめです。
保存できたら、エッセンシャルグラフィックスパネルの「参照」タブを開いてください。 右下にある“モーショングラフィックステンプレートをインストール”から、保存したファイルをインストールします。
インストールが完了すると、参照の一覧表示に自分の作ったモーショングラフィックステンプレートが表示されます。
モーショングラフィックステンプレートを使う
Lesson1シーケンスの冒頭、「こんにちは」の後あたりに、モーショングラフィックステンプレートを挿入してみましょう。
挿入したい位置に再生ヘッドを合わせて、ドラッグ・アンド・ドロップします。
エフェクトコントロールを見てみると、作成した設定がそのまま残っていることがわかります。 素材によっては長さを変えられない・アニメーションを調整できないなど「痒いところに手が届かない」ものもありますが、自作したモーショングラフィックステンプレートなら変更が効きます。自分で設定しているので、調整もしやすいですね。
お名前などのテキストも、通常のクリップと同じように打ち替えが可能。
大きさや表示位置は、ビデオ > モーションのパラメーターで調整できます。
ただし、アニメーションの設定などでモーションも使っている場合は、触ると表示が崩れてしまいます。 そうした場合はトランスフォームエフェクトを追加し、そちらで調整する事もあります。
何度も同じエフェクトを使う際には、何の役割で使っているか名前に入れてると分かりやすいのでおすすめ。
今回作ったのはローワーサードですが、同様の方法でテロップやサイドスーパー(番組名・コーナー名など)なども作成できます。
実習
このレッスンで行ったように、先生の名前をアニメーションで表示させてください。 アニメーションはレッスン通りでも、ご自身でアレンジしていただいても構いません。
モーショングラフィックステンプレートとして書き出し→利用も試してみましょう。 モーショングラフィックステンプレートとして保存しておくと、動画編集時にイチから作らなくて良いこともあり、作業時間短縮にも繋がります。練習がてら、色々なアニメーションのパターンを作ってみてください。