Premiere Proの映像ズーム(拡大)方法と、アンカーポイントの役割を理解する | SkillhubAI(スキルハブエーアイ)

Premiere Proの映像ズーム(拡大)方法と、アンカーポイントの役割を理解する

Premiere Proでよく使われる2種類のズーム

今回のレッスンでは、Premiere Proで動画・画像の一部分を拡大表示する方法を見ていきます。

Premiere Proで使う基本的なズーム方法は、主に2種類あります。

  • A:映像全体を拡大する
    →カメラの倍率を上げる・カメラが寄っていくイメージ
  • B:映像の特定範囲だけを拡大
    →虫眼鏡を置いて、拡大表示したようなイメージ

例えば、前回使用したフリー動画。 ペンケースの柄が見えるように拡大する場合だと、以下のような違いがあります。

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それぞれの方法を把握して、拡大したい対象によって使い分けられるようにしましょう。

A:映像全体を拡大する

被写体へカメラが寄っていくようなズームは、モーションのみで設定可能。 スケール + 位置もしくはアンカーポイントの組み合わせで表現できます。

最もシンプルなアンカーポイントを使う方法から見ていきましょう。

アンカーポイント+スケールでズーム

Premiere Proのアンカーポイントとは、映像素材の基準点・中心点になる部分です。

タイムライン上の映像クリップで“モーション”を選択すると、プログラムモニター上に照準のようなcancelマークが表示されるはずです。これがアンカーポイントです。 file

例えば、今回のスケールを変更する場合。 拡大したい対象(ペンケース)にあらかじめアンカーポイントを配置しておけば、そこを基準に拡大・縮小が行われます。 同じ“スケール: 200”でも、シーケンスの枠内に収まる範囲が変わってくるわけです。

【アンカーポイントが中央】

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【アンカーポイントを移動】

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スケールでキーフレームを使って、100%から徐々に大きくなるように設定すれば、映像を拡大するズーム効果を表現できます。 アンカーポイントの位置は、下記動画のようにプログラムモニター上で動かすと良いです。

順番に色々な場所をズームする場合

アンカーポイントを拡大したい位置に合わせる方法、シンプルでわかりやすいですよね。 ただ、ズーム表示したい箇所が2箇所以上ある場合は、少し注意が必要です。

アンカーポイントを理解する

クリップのアンカーポイント(ビデオ > モーション > アンカーポイント)は、シーケンスに動画を配置する位置の起点でもあります。 先ほどアンカーポイントを変更した時も、連動して位置の数値が変わっていたはずです。

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● アンカーポイントのトラブル

スケールの値を大きくして拡大したあとに、アンカーポイントを移動しても、表示される範囲は変わりません。 一見変化はないのに、スケールを100%に戻すと、クリップがズレています。

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プログラムモニター上でアンカーポイントを動かすと、位置の数値も連動します。 ただし、エフェクトコントロールでアンカーポイントの数字を変えると連動しません。

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この場合も、クリップの映像が、シーケンスからズレてしまいますね。

● クリップがズレる原因と、位置とアンカーポイントの違い

上記のような問題は、位置とアンカーポイントの数値(座標)が、どの位置を基準にしているかを理解すると防ぐことが出来ます。

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【基準位置】

  • アンカーポイント:映像クリップの左上を基準にした座標
  • 位置:シーケンスの左上から見た、アンカーポイントの座標

アンカーポイントは、クリップの左上を基準にして、どこをアンカーポイントとして設定したいかを座標で示しています。

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座標に使う数値は、スケールで拡大・縮小している場合も、クリップの原寸サイズ(100%)での数値が使われます。

例えば、Lesson3シーケンスで使っているPC画面録画。 このクリップは、シーケンスとは異なるサイズの映像クリップです。 ですので、アンカーポイントがシーケンス中央にあっても「位置と数値が違うし、数値がやけに大きい」という状態になります。

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位置は、シーケンスの左上を基準に、クリップのアンカーポイントがどこに来るように配置するかを座標で示しています。

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下記動画のようにバラバラに動かすと、それぞれ違いが把握しやすいと思います。 アンカーポイントと位置の関係性がわかると「映像が変な位置に動いてしまった」という状態が起こらなくなります。

複数箇所にズームするなら、スケール+位置がオススメ

アンカーポイントを移動させる場合、位置の座標も変えないと映像はシーケンスのサイズから逸れてしまいます。

このため、最初にペンケース、次に本……というように拡大する対象が順番に変わっていく場合は、アンカーポイントは固定したままのほうが簡単に設定できます。 それぞれのプロパティ、キーフレームの設定の違いは、下記動画をご確認ください。

また、どちらの方法でもイージングを適用すると動きが滑らかに見えます。 キーフレームを右クリックして「イーズイン」もしくは「イーズアウト」を適用すると、手軽にイージングの設定が出来ます。

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B:映像の特定範囲だけを拡大する方法

虫眼鏡を置いたようなズームは、Premiere Proに搭載されているエフェクトを使います。

エフェクトパネルで「ズーム」と検索。 ビデオエフェクト > ディストーション > ズーム を見つけて、クリップに適用します。

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適用すると、中心あたりが円形に拡大されています。

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エフェクトコントロールパネルにも「fx ズーム」という項目が増えてます。 中心や拡大率など各パラメータを設定して、拡大したい部分が見えるようにすれば完了です。

スケールで行ったように、最初にペンケース、次に本、と拡大対象を変える事も可能です。 “中心でキーフレームを設定し、拡大したいアイテムにcancelマークを移動させれば出来ます。

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実習

前回の実習で設定した1つめのマーカーのところに、拡大効果を設定しましょう。 方法A、モーションのスケールを使って拡大してください。

見本ではスケール+位置で拡大表示しています。 (後半、ターミナル部分の拡大も必要と想定されるため)

PC画面録画でエディタを全画面表示にするタイミングと合わせて、ベースになるコード(valuesの定義)部分を拡大します。 「よいしょ」の声が、キーフレームを設定する目印になると思います。

拡大表示の終わり部分は、見本のとおりでも、別のタイミングにしても構いません。