テキストの表現力を増やすエッセンシャルグラフィックス要点まとめ | SkillhubAI(スキルハブエーアイ)

テキストの表現力を増やすエッセンシャルグラフィックス要点まとめ

日本の動画はテロップが重要

TV番組も、YouTube動画も、日本の映像はテキストが非常に多いことはよく報じられています。 書体やデザインを変えた多種多様なテロップが、どんどん出てくる映像が標準的な国というのはかなりレア。

日本人にとって、テロップは、情報の補助だけではなく、飽きさせないためのアクセントとしての役割もあります。 視聴者のメインが日本人なら、ある程度文字情報も入れてあげたほうが、途中離脱率の低下が期待できます。

マルクリ道場さんでも、日本のテロップ文化について考察されていました。 配信自体は終了していますが、記事や一部公開のアーカイブだけでも、とても参考になります。

  • 視聴者が、嫌でも最初から最後まで視聴する動画である(講義参加者など)
  • ファンが多く、自分の動画であれば見てくれる
  • 演出や表情、話術に自信がある
  • You TubeやSNSでの、興味本位の視聴者は要らない

などでない限り、喋りやPC操作が中心の動画を最後まで見てもらうのは困難です。 フルテロップではないにしろ、重要な箇所には演出も兼ねてテキストを表示すると良いでしょう。

テロップの基本「エッセンシャルグラフィックス」

Premiere Proでテロップを作る場合、基本となるのがエッセンシャルグラフィクスパネルです。 入力したテキストの配置、配色などのデザインを整えるのに使います。

今回はこのエッセンシャルグラフィックスパネルの設定について見ていきましょう。

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文字の大きさ・配置の設定

フォントや文字サイズ、配置について見ていきましょう。

下図、水色線で囲った部分では、フォントの選択と文字サイズの変更を行います。 スマホで視聴されることも考慮して、文字サイズはやや大きめにしておくと良いでしょう。

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赤線で囲った部分ではテキストの配置・揃え方を設定します。 テキスト入力をする時にポイント文字にするか、エリア内文字にするかで、動きが少し変わってきます。

文字入力の種類と、それぞれの配置のされ方を確認していきましょう。

ポイント文字とエリア内文字

PhotoshopやIllustratorなどを使われている方にはお馴染み、ポイント文字とエリア内文字。

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Premiere Proではエリア内文字ツール、エリア内文字に切り替え、などのメニューは用意されていません。 しかし、クリック or ドラッグでどちらのタイプにするか決定する、Adobeの文字入力の仕様は存在しています。

テキストツールでプログラムモニターをクリックして文字入力するとポイント文字になります。 バウンディングボックス(青い枠)にある白い ○ をドラッグすると、テキストの拡大縮小ができます。

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テキストツールでプログラムモニターをドラッグして範囲を作ってから文字入力するとエリア内文字になります。 バウンディングエリアの ○ をドラッグすると、エリアの拡大縮小ができます。文字サイズは変わりません。

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ポイント文字・エリア内文字の切り替えは?

エリア内文字 → ポイント文字への変更は可能です。

エフェクトコントロールパネルで、グラフィック > テキストを選択。 ソーステキストの横にある“パラメーターをリセット”を使うと、ポイント文字に変わります。

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ただし、上アニメーションのように、フォントやアピアランスなどの設定もすべてリセットされます。

また、ポイント文字 → エリア内文字への変更はPremiere Proには存在しないようです。 「一度決めたら変えないもの」と思っておいたほうが確実でしょう。

文字の配置を決める整列、位置、揃え

テキストの表示位置を決めるには“整列と変形”の項目と、テキストの“揃え位置”を使います。

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それぞれの動きは、以下の動画をご確認ください。 この仕組みがわかると「中央揃えにしたのに、変な場所に文字が配置される」という事がなくなりますよ。

アピアランス項目の確認

次は、テキストのデザインを大きく左右するアピアランスの設定を見ていきます。 テキストスタイルやテロップスタイルと呼ばれる設定の、中心部分ですね。

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以下6つの項目があります。

1.グラフィックプロパティ

アピアランスという見出しの横にあるアイコンでは、グラフィックプロパティの設定ができます。

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グラフィックプロパティ上部の“線種”ではストローク、境界線をどう描写するかを設定できます。

テロップを作る時に重要なのが、一番上の線の結合。 Premiere Proデフォルトのマイター結合で境界線を太くすると、角がどんどん尖っていきます。Youtubeなどの動画で、角がツノのように伸びている、トゲトゲしたテロップを目にした事がある方もいるでしょう。 タイトルなどでデザインとして採用するなら良いですが、テロップ全体がこれだと見にくいですね。

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トゲトゲを回避するには、ラウンド結合に切り替えればOK。 ラウンド結合がオーソドックスなテロップの設定、男性向け・カチッとした印象にしたい場合はベベル結合を選ぶと良いでしょう。

線端は文字通り線の端、パスが交差しない場合の描写についての設定です。 テキストは基本的にクローズパス(ぐるりと繋がっている状態)で線端がないため、どれを選んでも違いはありません。

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下部の“背景スタイル”は、テキストが複数行ある場合の、背景の付け方を選択できます。

毎回ラウンド結合を選ぶのが面倒なら…

テロップとしては、境界線はラウンド結合がオーソドックスと紹介しました。 ですが、Premiere Proのデフォルト設定はマイター結合。 毎回毎回、グラフィックプロパティを開いて設定するのは面倒ですよね。

以下の方法で、テキスト入力の設定を変更しておく事もできます。

エッセンシャルグラフィックスパネルの右にあるをクリック。 テキストレイヤーの環境設定...を選びます。

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タイトルが“テキストレイヤーの環境設定”となっているウィンドウが表示されます。 設定できる項目は、グラフィックプロパティと同じです。

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こちらで線の結合:ラウンド結合を選択し、OKで保存します。 すると、設定変更後に入力したテキストは、最初から“ラウンド結合”が適用されますよ。

2.塗り

塗りでは、テキストの塗り色・文字そのものの色を設定ます。 チェックを外すと、塗り無し(透過状態)になります。

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3.境界線

境界線では、文字の外枠のような線をつけることが出来ます。 不要な場合はチェックを外しておけばOK。

線の位置を外側・内側・中央どれにするかで、境界線の幅を同じ数値にしても見え方が変わってきます。

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また、境界線には右上にアイコンがあり、複数設定することも出来ます。

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下図のように、白の境界線を内側に入れた2重境界線は結構見かけますね。 アピアランスパネルの各項目は、上に行くほど前面、下に行くほど背面になります。

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3層レイヤーが重なっている…とイメージするとわかりやすいかもしれません。 下にある境界線の幅よりも、上の境界線の幅が広いと見えなくなります。

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必ずというわけではありませんが、境界線を複数使う時は内側にいくほど線が太くなるようにすると見やすく・スッキリ仕上がります。 上図右、外側の方が太いものは、目立ちはするものの読みにくいですよね。

追加と削除の注意点

境界線とシャドウはアイコンで追加、アイコンで削除できます。 ですが、ドラッグで並び替えをしたり、削除する対象を選んだりすることは出来ません。

アイコンで追加した境界線は、一番下(背面)になります。 アイコンで削除するときも、一番下から1つずつ削除されていきます。

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ちょっと不便な仕様ですね。 Illustratorのアピアランスのような感覚で設定はできないので、最初から順序を考えて設定していくのが良いでしょう。一番上にある境界線設定が要らない……なんて時は、削除ではなく非表示で対応すると良いです。

4.背景

その名の通り、ザブトンやテキストボックスと呼ばれるような文字背景を付けます。

基準を行ごと、テキスト全体どちらにするかは(グラフィックプロパティ)の方で設定します。 アピアランスで設定できるのは、以下4つのみ。

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縦方向と横方向のサイズを変えたい、など細かな設定は出来ません。 デザイン性の高いテキストボックスを作りたい場合は、別途シェイプツールなどを使って作成します。

5.シャドウ

シャドウでは、境界線よりも後ろ(背面)につける装飾を設定できます。 アピアランスの中で一番設定項目が多いですね。

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名称はシャドウですが、設定によって光彩(外側)の効果をつけることもできます。 下図左のように、ちょっと立体感をもたせる形で設定されているテロップも多いです。

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シャドウも境界線と同じく、をクリックで増やしていけます。 どう使うか・設定するかによって、文字の印象がかなり変わってくる項目です。

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6.テキストでマスク

アピアランスの一番下にある、テキストでマスクというチェック項目。 こちらは同じグラフィッククリップ内にある画像や動画素材を、文字でマスクできる機能です。

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ポイントは切り抜きたい映像を、同じクリップに配置すること。 編集に表示される順で、文字の下に来るようにしてください。

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テキストでマスクを有効にすると、マスクの種類を指定できるようになります。

  • 反転:テキストのあった部分を除いて、映像が表示される
  • マスクのみ塗りつぶし:塗りの部分だけをマスク

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文字の中が動く演出が手軽にできる

テキストでマスクを有効にすると、テクスチャを使ったような表現や、文字の中が動いているテロップが簡単に作れます。

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テキストの中で動かしたい動画を探して、テキストでマスクを有効にするだけ。 上の例では、以下のフリー動画をお借りしました。

Pixabayが提供するOlenaの動画

ダウンロードした動画をプロジェクトで読み込み、テキストの下に配置。 テキストでマスクを有効にし、マスクのみ塗りつぶしにチェックを入れます。

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必要に応じて、映像の方を移動・拡大縮小させて、良い感じに文字の中で映像が動くようにすれば完了。

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めちゃくちゃ簡単に出来ます。 中の映像(動画・画像)を変えると、ホラー調やキラキラ系など色々な表現に使えます。

グラデーション

アピアランスの背景以外の項目は、色を“グラデーション”に変更することが出来ます。

方法は、どれも蛍光ペンでマークするようなアニメーションのレッスンで設定した方法と同じ。 グラデーションにしたい項目の色見本をクリックして、カラーピッカーの上部の塗りオプションで切り替えます。

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上に少し白を入れる、下に少し黒を入れるだけでも、ベタ塗りとは雰囲気が変わります。

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グラデーションを使うと、テキスト表示する情報のニュアンスを伝えやるくなる、競合との区別をつけやすいなどのメリットがあります。全部グラデーションにする必要はありませんが、要所に取り入れると良いでしょう。

金色(ゴールド)のグラデーション

TV番組やYou Tubeでは、金色(ゴールド)や銀色(シルバー)に見えるようなテロップも使われています。 特に高級感や特別感を演出するために、金色の文字はよく目にしますね。

金文字・メタリック文字も、アピアランスの“塗り”で設定するグラデーションがベースになります。 では、そのグラデーションの設定は? というと「これが正解」というものはありません。

パッと見て「ゴールド」と認識しているテキストでも、よく見ると色々なグラデーションが使われています。

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比較的簡単で、失敗しにくいのは上図右下のようなタイプでしょうか。 以下の3つの色を使い、分岐点4つで以下のようになります。

  • 茶色:#B57800
  • 薄オレンジ:#FACB03
  • ハイライト:#FFFFCF

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塗りのグラデーションに合わせて、境界線やシャドウの色を黒~茶色あたりに設定すると落ち着きます。

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境界線も、似たような色味のグラーデーションにすると光沢感アップ。

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背景色が暗い場合は、シャドウで光彩(外)のようにモヤッと光らせても良いですね。

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上でもご紹介したように、同じ「ゴールド風のグラデーション」でも色々な設定使われています。境界線やシャドウの付け方も含めると、無数と言っても良いくらいに設定の仕方はあるでしょう。

場所●%に分岐点を作ってこのカラーを設定するのが大正解、なんて明確な答えはありません。 映像自体やテキスト化する言葉の雰囲気、制作者や視聴者の好み、動画業界のトレンド、などなど様々な要因もあります。

TVやYou Tube動画のテロップを見て作り方を考えてみたり、自分でバリエーションを作ってみたりして、引き出しを増やしていきましょう。You Tubeでは「〇〇風テロップの作り方」と、有名番組・YouTuberのテロップを模写する方法を解説した動画も多くあります。

テキストスタイルを保存、利用する

アピアランスの各項目を設定して、場合によってはグラデーションも作って……となると結構、手間も時間もかかりますよね。 Premiere Proのテキストスタイル機能で、スタイルの保存や再利用・テキストスタイル素材を活用することができます。

テキストスタイルの保存・書き出し

良い感じのアピアランス設定(テキストスタイル)が作れたら、PREMIEREPRO動画編集実践講座Ⅰで行ったように、テキストスタイルを保存しておくのがおすすめです。

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新規テキストスタイルとして保存すると、プロジェクトパネルにもテキストスタイルが表示されます。

ただ、この状態では、まだテキストスタイルは現在のプロジェクトでのみ使える限定的なものです。 今後のために保管しておきたい、別のプロジェクトで使いたい、という時には書き出しておくと良いでしょう。

プロジェクトパネル上で、テキストスタイルを右クリック。 テキストスタイルを書き出し...を選択します。

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書き出し先を決めて保存します。 .prtextstyleというのが、Premiere Proのテキストスタイルファイルの拡張子です。

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prtextstyleファイルとして書き出したものは、別のプロジェクトでも使えます。

prtextstyleファイルをプロジェクトパネルに読み込み。

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適用したいクリップにドラッグ・アンド・ドロップすればOKです。

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もちろん、適用した後に調整・変更することも可能です。 同じテロップを使い回さない場合も、微調整して使える“ひな形”があると楽ですよね。

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テキストスタイルの書き出しについて

テキストスタイルとして保存・書き出しができるのは、テキストとアピアランスの設定のみです。 整列と変形での設定は反映されません。

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また、prtextstyleファイルには複数のスタイルをまとめて書き出すことも出来ます。 複数選択した状態で、書き出しを行えばOK。

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一個ずつ読み込ませるのは面倒なので、ある程度キット化して書き出しても良いかもしれませんね。

テキストスタイル素材も存在する

簡単に書き出しができる、Premiere Proのテキストスタイル。 素材として販売や配布も行われています。

有名なのが、『ここ知り動画』さんが制作されている以下の素材。 booth経由でのDLのためpixivアカウントが必要ですが、無料で使えます。

【無料】Premiere Proテロップテンプレート&テキストアニメーションプリセット

https://kokoshiridouga.booth.pm/items/4463594

そのほかにもYou Tubeなどで探すと、テキストスタイルの配布・販売は結構あります。 LINEお友達登録が必要、など条件があるものも多いので、無理のないものが見つかれば使ってみると良いでしょう。

以下、『ここ知り動画』さんの無料版素材を読み込んでみました。

素材データあるあるですが、読み込んだ時にリンク切れの表示が出ることがあります。 見つけられる気がしない場合は「すべてオフライン」を選んで進みましょう。

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「Free_Premiere_Pro_textstyle&preset」というビンでまとまっているのが、読み込んだ素材。 どれが、どんなスタイルかわからない時は、プロジェクトパネルを“アイコン表示”にすると良いです。

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使いたいスタイルを選んで、クリップにドラッグ・アンド・ドロップすればOK。 どんな設定をされているか見るだけでも勉強になりますね。

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実習

題材の講義動画に挿入したテロップ用テキストを、アピアランスの設定を変えてグレードアップさせてください。

全テキストの設定を変更する必要はありません。 重要なワード部分、1つだけでもOK。 例えば、Lesson1シーケンスの最初の方にある「アルゴリズムです」あたりは探すのも楽で良いと思います。

レッスンと一緒にアピアランス設定・テキストスタイルの書き出しをした方は、作成したスタイルを当てるだけで変更できます。

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もちろん、ご自身でお好きに作成していただいても構いません。