Premiere Proのマーカーとは
Premiere Proには、タイムライン上に印を付ける“マーカー”機能が用意されています。
Premiere Proのリファレンス動画やテンプレート素材で、以下のような表示を目にしたことがある方もいらっしゃるでしょう。 タグのようなものが付いていたり、範囲指定のような表示があったり。 これらが「マーカー」です。
このPremiere Proのマーカーについて見ていきましょう。
マーカーの基本用途・活用方法は?
マーカーは、編集作業や、映像の再生を補助する機能です。 用途としては、主に以下の2つが挙げられるでしょう。
- 編集に必要なコメントを入れる(付箋・メモとして使う)
- DVD、Blue-ray書き込み時に使うための“チャプター”を作る
特に編集作業を円滑に進めるためのコメント・メモ機能としてマーカーを活用する機会が多いです。
カット編集だったり、自動文字起こしの確認だったり、動画を見ながら作業しますよね。 その時に「ここは効果音があったら良いかも」「〇〇をハイライト表示したい」などのアイディアも浮かぶと思います。
でも、その場その場で思いついた作業をしていくと、効率が悪い。 今の作業を終わらせてから、と思うと忘れてしまったり、該当箇所を探すのが面倒だったり。
そんなお悩みの解決に、マーカー機能が役立ちます。 付箋を貼るような感覚で、下図のようにメモをどんどん入れておけます。
クライアントにチェックしてもらって「ここでOOして欲しい」などマーカーを入れてもらったりと、色々な使い方ができます。
また、マーカー間での移動もできます。 編集点を入れなくても、編集したいポイントにすぐ移動できるので便利ですね。
マーカーの基本設定
解説で使用するシーケンスについて
Premiere Pro動画編集実践講座の題材である講義動画は、Ⅰ(前編)の編集時点で編集点・クリップ数が多くなっています。
操作・設定方法のデモに使用すると見にくいため、本講座ではシンプルなシーケンスを使って基本操作の解説を行います。
解説と一緒に操作を試される方は、同じように短めの映像1つでシーケンスを作成していただくと、操作しやすいと思います。
お手持ちの動画、もしくは講座で使用しているpixabayのフリー動画、何を使っても構いません。
※デモのシーケンスは、AVCHD 720p正方形ピクセル(1280×720px)で作成しています。
マーカーが追加できるのは?
マーカーは、それぞれのソースとプログラム(シーケンス)で設定することができます。
ソースクリップに設定したマーカーは、クリップの内側・ソースモニター上に表示されます。
シーケンスに対して設定したマーカーは、タイムライン上部・プログラムモニターに表示されます。
マーカーを追加する方法
マーカーはタイムライン、プログラムモニター、ソースモニター上にあるアイコンをクリックすると追加可能。
もしくは、ショートカットキーのMキーでも追加できます。
どちらの方法でも、再生ヘッドがある位置にマーカーが追加されます。
マーカーを追加する際に、1つだけ注意したいのがクリップ選択の有無。 タイムラインでクリップ選択状態でマーカーを追加すると、選択しているクリップにマーカーが追加されます。
シーケンスにマーカーを設定したい場合は、クリップを選択していない状態で操作を行う必要があります。 全選択解除は、空のトラックをクリックするか、ショートカットキーを使ってください。
【全選択解除のショートカットキー】
- Windows :Ctrl + Shift + A
- Mac OS :⌘ + Shift + A
マーカーが出ない・アイコンが無い時は…
設定によっては、クリップに設定したマーカーが表示されない事もあります。
クリップのマーカーが見えない、という時はタイムライン表示設定を確認してください。 メニューの中央あたりにある「クリップマーカーを表示」をチェックすると表示されます。
プログラム、ソースモニターにマーカーを追加のアイコン()が見当たらない場合は、設定もしくはボタンエディターを確認してください。
下部にボタンが何も無い、という方は設定
から「トランスポートコントロールを表示」にチェック。再生などはあるのに、が無いという方は、ボタンエディターから表示ボタンをカスタマイズしてください。
ショートカットキーを使うから不要、最小限の表示にしたい、という方は非表示で作業を進めても構いません。
マーカーの削除方法
マーカーの削除は、マーカーをタブルクリックして「削除」で行うことができます。
再生ヘッドをマーカーの位置に合わせている場合は、下記のショートカットキーでも可能。
【再生ヘッドの位置にあるマーカーを削除】
- Windows :Ctrl + Alt + M
- Mac OS :⌘ + Option + M
また、以下のショートカットキーを使えば、選択したクリップに設定されているマーカーを一括削除できます。 クリップ未選択状態の場合は、シーケンスに設定されている全てのマーカーが削除されます。
【マーカーを一括削除】
- Windows :Ctrl + Alt + Shift + M
- Mac OS :⌘ + Option + Shift + M
マーカーの詳細設定とデュレーション
マーカーを追加しただけだと、付箋をただペタッと貼ったような状態です。 ここからは「何の」マーカーかメモ書きを入れたり、内容によって色を変える方法を見ていきましょう。
マーカーオプション
マーカーをタブルクリック、もしくは再生ヘッドをマーカー位置に合わせて Mキーを押すと、マーカーオプションと呼ばれるウィンドウが開きます。
名前もしくはコメントに、何のマーカーかを入力しておくと分かりやすいです。 名前・コメント、どちらに入力しても大きな差はありません。 お好きな方(もしくは両方に)を使用してください。
マーカーの色、という部分は名前通りマーカー色を変更できます。 編集作業の内容によって色分けしておく、など、お好みに合わせて設定してみてください。
Premiere Proのマーカーの種類
マーカー色の下では、マーカーの種類の変更ができます。
Premiere Proで設定できるマーカーの種類は、ラジオボタンが用意されている5種類。
- コメントマーカー
- チャプターマーカー
- セグメンテーションマーカー
- webリンクマーカー
- Flashキューポイント
大抵の場合、使用するのは上2つのみ。2つの違いがわかり、使えれば問題ありません。
1. コメントマーカー
編集時のメモ、コメント登録に使われる、最もオーソドックスなマーカー。 単に「マーカー」と言った場合は、コメントマーカーを指すと思って良いです。
ショートカットキーのMで追加されるのもコメントマーカーです。 特別な理由がない限り、マーカーの種類を変える必要はないでしょう。
2. チャプターマーカー
DVDやBlu-rayへ映像を書き込む時などに使う、チャプター機能を追加するためのマーカーです。
ただし、チャプターマーカーはMOV形式の動画のみ対応しています。 mp4形式で書き出して、YouTubeなどにアップロードするなどの場合は機能しません。
Premiere Proでは ファイル > 書き出しからマーカー情報(タイムコードなど)のみの書き出しもできます。 が、マーカーのみ書き出す場合は、種類の指定はあまり関係ありません。
ですので、Web動画の編集をする場合は、ほとんど使用することは無いでしょう。 You Tubeメインであれば、以下のようなプラグインも開発されているようです。
そのほかのマーカー
セグメンテーションマーカー
Adobe公式のPremiere Pro ユーザーガイドでは以下のように説明されています。
セグメンテーションマーカーを使用すると、ビデオの範囲を定義して、ワークフローを自動化できます。例えば、特定の領域をリーダーとして指定したり、コマーシャルが表示されるセグメントとして指定したりできます。
出典:https://helpx.adobe.com/jp/premiere-pro/using/markers.html
とは言え、現在のPremiere Proでは他のマーカーでもデュレーションが設定出来るようになっています。 このため、イマイチ用途がわからず、あまり使用されないマーカーです。
webリンクマーカー
マーカーを打った箇所にURLを設定し、映像再生中にWeb ページと紐付けることができます。 ただし、こちらもチャプターマーカーと同じく、対応する動画形式が
Flashキューポイントマーカー
Flashキューポイントの役割を果たすマーカーを挿入します。 キューポイントとは、Flashムービーを再生中に、テキストを表示させたりイベントを発生させるためのポイントです。
Premiere Proのマーカーパネル
追加したマーカーは、マーカーパネルを使って確認することもできます。
マーカーパネルでも、名前・コメントは打ち替え可能。 1つずつマーカーオプションを開いて入力するのが面倒、という時はこちらを使っても良いですね。
マーカーパネル上部は、一覧表示するマーカーの絞り込みです。 左はマーカー名、コメントに含まれているワードを使った検索。 右のスウォッチのようなところは、クリックしてチェックするとマーカーの色で絞り込み表示ができます。
マーカーのデュレーションを設定する
マーカーデュレーション(長さ)を設定して、「ここから、ここまで」という風にマークすることもできます。
作業が必要な範囲が視覚的にわかりやすくなり、名前やコメントも一目で確認しやすくなります。
マーカーのデュレーション設定は、WindowsはAltキー、MacはOptionキーを押しながらマーカーをクリック。 マーカーが左右に割れたような表示になるので、片方をドラッグすると設定できます。
マーカー関連ショートカットキーまとめ
内容 | ショートカットキー |
---|---|
(再生ヘッドの位置に)マーカーを追加 | M |
マーカーオプションを開く | (再生ヘッドの位置をマーカーに合わせて)M |
(再生ヘッドの位置にある) マーカーを削除 |
Windows: Ctrl + Alt + M |
Mac: ⌘ + Option + M | |
(選択したクリップもしくはシーケンス全体の) マーカーをすべて削除 |
Windows: Ctrl + Alt + Shift + M |
Mac: ⌘ + Option + Shift + M | |
次のマーカーへ移動 | Shift + M |
前のマーカーへ移動 | Windows: Ctrl + Shift + M |
Mac: ⌘ + Shift + M |
キーボードショートカットの設定も
デフォルトでは未設定ですが、マーカー関係のキーボードショートカットを設定することも出来ます。 例えば、マーカーオプションを開かずにマーカーの色を変えたりも出来ます。
サクサク色分けをしたい、という方はオリジナルのショートカットキーを登録すると良さそうですね。
実習
講義動画、Lesson3シーケンスに以下3つのマーカーを追加してください。
使うのは前半約2分以内の部分だけなので、「内容が難しくてちょっと」という方も大丈夫です。
素材映像での時間(cam_algo_lesson3.mp4) | 目印のワード | 内容 |
---|---|---|
00:00:43:50 あたり | Pythonを使って説明をしていきたいと思います。よいしょ | 見やすいように拡大(ズーム)する |
00:01:24:00 あたり | で、これを並び替えて、小さい順に並び替えて | valuesの数字をぐるっと囲んで、「これ」が何か強調 |
00:01:47:50 あたり | じゃぁ、ちょっとね、やってみてください |
視聴者が考えやすいように、間を作る。 直後の「はい、では、皆さんできましたでしょうか?」の違和感をなくす |
ズームのためのマーカーは、ズームしている期間を示すためにデュレーションを設定しても良いです。 マーカーの色や名前・コメントは、お好きに設定してください。
今回でマーカーを追加した箇所へ、次回以降アニメーションなどを加えていきます。 以下の動画が完成見本になるので「上の表じゃ、どこかわからない」という方もご確認ください。
なお、見本ではテロップが入っていますが、無くても影響ありません。 キャプションやテロップ(グラフィック)を作っていない方も、そのまま進めてOKです。