動画の一部を目立たせる! “ワイプ”を使ったアニメーションの作成 | SkillhubAI(スキルハブエーアイ)

動画の一部を目立たせる! “ワイプ”を使ったアニメーションの作成

今回行うこと

Premiere Proのトランジションやエフェクトの中でも、使用する機会が多い“ワイプ”を使ってアニメーション表現を追加します。

下記アニメーションのように、映像の一部分を強調したい時に役立ちます。

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また、グラフ表示や、自作トランジションなど、複数のエフェクトを組み合わせ使う場合も“ワイプ”は結構登場します。 基本を覚えておくと、色々なアレンジがしやすくなりますよ。

ワイプとは

ワイプとは、表示を切り替える手法を表した映像用語です。 Wipe=ふき取るという言葉通り、前の画面を拭うようにして次の画面が現れることで映像を切り替える技法を指します。

以下のように上下左右・斜め・中央方向からスライドして、別の映像へ切り替えるものが代表的です。

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日本のTV・映像業界で言われているワイプ(画面四隅に、小窓のように表示するピクチャ・イン・ピクチャ)とは別物です。

解説に使用しているシーケンスについて

解説は、見やすようにカラーマット(白)+ テキスト のみのシーケンスで進めます。

カラーマットは、単色塗りのレイヤーのようなものです。 プロジェクトパネル下部にある アイコン、新規項目から選択して作成できます。

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シーケンスのプリセットは、実習で使っているものと同じ( AVCHD1080p30 もしくは AVCHD1080p60 )にしておくと無難。 入力するテキストは、何でも構いません。 解説と一緒にアニメーションを作成される方は、文字を大きめにしておくと設定・調節がしやすいです。

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1. 蛍光ペンでマークするようなアニメーション

以下のようなアニメーションを、Premiere Proで設定していきます。 簡単に作れ、ジャンルを問わず色々な動画でちょっとしたアクセント・強調として使えますよ。

以下の動画は一連の作業をまとめたものです。 動画の下では、静止画を使って要点を紹介していますので、合わせてご活用ください。

1-1. 動きをつけるアイテムを作成

最初に、動きをつけるためのアイテム、今回の場合だと“蛍光ペンで引いた線のような表示”を作ります。

長方形シェイプを追加

長方形ツールを使って、色を付けたい部分に長方形を作ってください。 大きさは後から変更できますので、だいたいでOK。

テキストと同じクリップにならないようにだけ注意してください。 テキストがあるビデオトラック(下図だとV2)をロックしておくと、やりやすいです。

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塗り色・描画モードの変更

エッセンシャルグラフィックスパネルで、作成した長方形シェイプの色を変えます。 編集タブを開き、アピアランス > 塗りの色付き長方形をクリック。

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カラーピッカーが開きます。 お好きな色を設定してください。

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次に、エフェクトコントロールパネルで描画モードの変更をします。 ビデオ > 不透明度 > 描画モードのプルダウンを開いて、乗算を選びます。

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シェイプと重なっていた、文字下部も見えるようになります。

塗りをグラデーションにする場合

グラデーションを使うと、ちょっと掠れたような表現もできます。

塗りをグラデーションに変更したい場合は、カラーピッカーの最上部で切り替えます。

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上の分岐点が透明度、下の分岐点がカラーの設定です。 グラデーションの向きなどはプログラムモニター上での調整になるので、ひとまず設定。

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選択ツールに持ち替えると、両端に●の付いた線が表示されます。 この線でグラデーションの角度、位置を調整できます。

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1-2. アニメーションを設定

線を引くように、徐々に出現するアニメーションを加えます。

エフェクトパネルで「ワイプ」を検索。 ビデオトランジション > ワイプ の中にある“ワイプ”を、クリップの先頭に適用します。

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クリップに適用した、ワイプの長方形をクリック。

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エフェクトコントロールパネルに、上図のようなワイプの設定が表示されます。 ワイプの向き(方向)と、アニメーションにかける時間を調整してください。

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必要に応じて、クリップの末尾側にもトランジションエフェクトを適用してください。

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2. 注目箇所をぐるっと囲むアニメーション

丸や四角・フレームなどで“囲って”強調する時に使える、以下アニメーションを作成します。 いきなり出現させるよりも滑らかですし、動きによって注目してもらいやすくなるでしょう。

以下の動画は一連の作業をまとめたものです。 こちらも動画の下に、静止画を使った要点解説があります。合わせてご活用ください。

シェイプを用意し、エフェクトを適用する

シェイプの追加

最初に行う準備は、蛍光ペン風とほぼ同じ。 アニメーション表示させたいシェイプを描画し、クリップを増やします。

シーケンスを複数作るのは面倒なので、再生ヘッドを少し進めて描画しちゃいましょう。

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エッセンシャルグラフィックスパネル、アピアランスを使ってシェイプの塗り・境界線の色を設定します。

線でぐるっと囲むアニメーションを作りたいので、塗り色はOFF。 なのですが、『ワイプ(放射状)』のエフェクトがどんな動きをするかは、塗りもあったほう分かりやすいです。 後からワンクリックでOFFにできるので、あまり使ったことがない方はONのまま進めるのがオススメ。

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ワイプ(放射状)エフェクトを追加する

シェイプが作れたら、クリップにエフェクトを追加します。

ビデオエフェクト > 旧バージョン の中にある『ワイプ(放射状)』をクリップに適用してください。

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ここからはエフェクトコントロールで、赤線の中のパラメータを調節していきましょう!

ワイプ(放射状)エフェクトの調整

ワイプ(放射状)のパラメータの中で、重要なのが以下の2つです。 * 変換終了 * 中心

変換終了は、ワイプによって消えている割合と思ってください。 100%変換終了で、エフェクトが適用されたアイテムは全く見えない状態になります。

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ちょっとわかりにくいのが、中心。 cancelマークが表示されている位置です。

エフェクトは作ったシェイプだけではなく、クリップやシーケンスの大きさで動いています。 このため、中心位置によって、同じ変換終了の値でも、対象アイテムの消え方が違って見えます。

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今回の「枠線をぐるっと表示したい」場合は、対象(枠線)の中央あたりに中心を置くと良いです。

開始角度は名前通り、360℃放射状に回るワイプのスタート地点を決めます。 こちらも中心点を基準に、中心点の真上を0°と考えます。 アニメーションを開始したい箇所に合わせて、調整してください。

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変換終了のキーフレームを設定して、アニメーション表示にすれば完成です。

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ビデオエフェクトとトランジションは何が違う?

今回使ったワイプエフェクトは、ビデオエフェクトとビデオトランジション両方に用意されています。 検索した時に、気になった方もいらっしゃるかもしれません。

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ビデオエフェクトにある“リニアワイプ”とビデオトランジションの“ワイプ”、ビデオエフェクトにある“ワイプ(放射状)”とビデオトランジションの“ワイプ(放射状)”は、動きとしてはほぼ同じ。

違いとしては、以下のようなことが挙げられます。

◆ ビデオエフェクト

  • キーフレームを使ってアニメーションを制御する
  • アニメーションのタイミングやイージングを、好きに設定できる
  • 角度やぼかしなど細かい設定が出来る
  • タイムラインでクリップの長さを変えると、キーフレームが切れてしまう

ビデオエフェクトの特徴は、細かく設定が出来ることです。 例えば、線で囲うアニメーションをビデオトランジションの“ワイプ(放射状)”で作ろうとすると以下のようになります。

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“中心”は、クリップの四隅から選択できるだけ。 シェイプの位置を基準には設定出来ません。手で丸や四角を書くように、一方方向に線が伸びていってぐるっと囲むアニメーションを作りたい場合は不向きです。 file

ビデオエフェクトの方が、パラメーターもキーフレームも、細かく設定してアニメーションを作成できます。

◆ ビデオトランジション

  • クリップの開始・終了タイミングにのみ適用
  • アニメーションの速度=デュレーション
  • 細かい設定は出来ない
  • タイムラインでクリップの長さを変えても設定が維持される

ビデオトランジションの特徴は、設定が簡単なこと。 クリップの先頭と末尾であれば、キーフレームを打つ必要もなく、簡単に「それっぽい」アニメーション・トランジション効果をつけることが出来ます。反対に、上記“ワイプ(放射状)”の例のように、細かな設定には不向きです。

また、キーフレームは設定しただけの状態だと、クリップのデュレーションを変えると切れてしまいます。

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しかし、トランジションは「クリップの先頭・末尾」に適用されるもの。 ですので、適用しておけば、クリップの長さを変えても同じ設定が維持されます。

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トランジションで用が足りる場合は、設定がシンプルなトランジションを使ったほうが手軽。 トランジションだけでは目的のアニメーションにならない、例えば「説明している言葉にタイミングを合わせてアニメーションさせる」などの場合は、ビデオエフェクトでキーフレームを打って設定してください。

作りたいアニメーションが実現できるもの、どちらでも良い場合は扱いの楽なものを選ぶと良いでしょう。

実習

マーカーの実習で設定したマーカーの2番目、values = [ ] のコードを強調表示してください。

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マーカーのコメントに「ぐるっと囲む」と書きましたが、蛍光ペン風のアニメーションを使っても構いません。 今回のように黒っぽい背景の時は、描画モード“オーバーレイ”あたりを使うと良いでしょう。

レッスンと一緒にアニメーションを設定された方は、お試し用のシーケンスからクリップを複製して調整してもOKです。

クリップの複製・複製後の調整のヒントは、下記の動画をご確認ください。