After Effectsでの制作によく使われる“ヌル”について解説します。
今回はよく使われるヌル+カメラの組み合わせを作りますが、ヌルはライトレイヤーの調整や、シェイプやテキストレイヤーにまとめてアニメーションを設定する時にも使います。
まずはシンプルな操作で、ヌルのイメージを掴みましょう。
ヌルオブジェクトのヌルは“Null”。
プログラミングやコンピュータ関係では「何もない」という意味で使われている言葉です。
After Effectsでヌルオブジェクト(ヌルオブジェクトレイヤー)と呼ばれているものも同じ。
表示されない=書き出す動画には映らない、透明で小さいレイヤーの事を指します。
ヌルオブジェクトは、レイヤーの動きをコントロールする際に使える便利機能のようなもの。
ヌルを使って他のレイヤーの動きをコントロールするためには、対象レイヤーをヌルに紐付ける必要があります。
この紐付けはリンクや、親子関係を作る・親子付けをする、などと表現されます。
ヌルオブジェクトレイヤーを新規追加します。
レイヤーの新規 > ヌルオブジェクト、もしくは以下のショートカットキーで追加できます。
タイムラインパネルに、ヌルオブジェクトレイヤーが追加されます。
コンポジションパネルでは、ヌルのラベルと同じ色の四角がヌルオブジェクトです。
カメラレイヤーと親子つけするには、ヌルも3Dレイヤーにする必要があります。
ヌルの並びにある、3Dレイヤーのスイッチを有効にしてください。
作成したヌルと、カメラのレイヤーを紐づけします。
レイヤースイッチ類の右にある、渦巻きのアイコン(親ピックウィップ)を使います。
カメラの並びの渦巻きアイコンをドラッグすると線が伸びます。
親として設定したいレイヤー、ヌルのところまでドラッグしていきましょう。
ドロップする(手を離す)と、“親とリンク”の欄がヌル1にかわります。
プルダウンで直接選んでも良いですが、レイヤーの数が増えると間違いが起きやすいのでピックウィップを使うのがお勧めです。
ヌルとカメラレイヤーをリンクする(親子関係にする)と、2つのレイヤーの位置プロパティを変えた時に、以下のような違いが出ます。
ヌルレイヤーの位置を動かすと、1ノードカメラで位置を動かしたときと同じ変化。
ヌルの位置が変わり、ヌルの“子”であるカメラもそれに付いていくように動きます。
カメラレイヤーの位置は今まで通り、目標点を中心とした2ノードカメラの動きになります。
こうしておくと、1ノードカメラと2ノードカメラ両方の機能が使える状態を作れます。
いちいち設定でカメラの種類を変えなくても良いですし、便利ですね。
ライトレイヤーも同様の方法で、位置を取りやすくすることが出来ます。
ヌルレイヤーを親に設定すると、カメラレイヤーのトランスフォームにある“リセット”を使うとカメラに映る範囲がズレます。
これは、目標点や位置を取る時の基点が、ヌルオブジェクトの位置に変わったためです。
カメラを動かしていて、変な方向に向いてしまった…という時は、一旦、目標点と位置の、X座標とY座標をすべてゼロにすると整えやすいです。
作成したヌル+カメラレイヤーで、ちょっとしたアニメーションを作ってみましょう。
一枚だけだと寂しいので、シェイプレイヤーを複製して増やします。
レイヤーの複製はCtrl + D(MacはCommand + D)で出来ます。
シェイプレイヤーの“位置”で、複製したレイヤーのZ座標(1番目の数値)を変更します。
それぞれ、シェイプの塗り色を変えておくと分かりやすいです。
Z座標を変えた2つのシェイプで、“位置”のX座標も変更します。
位置の数値はこんな感じ。
ここからは、ヌルのトランスフォームを使います。
タイムラインの始まり(0:00f)でY回転にキーフレームを打ちます。
インジケーターを2秒地点に動かして、Y回転にキーフレームを追加。
0秒地点のキーフレームで、Y回転の角度を「45」と打ち替えます。
再生してみると、カメラが斜め横から正面に回り込んだようなアニメーションになります。
スケールでもキーフレームを設定してみると、以下のようになります。
アニメーションの速度(イーズ)を変えると、また印象は変わりますね。
スケール以外の、他トランスフォームプロパティと組み合わせたら……など、他の設定も試してみてください。
今回のように、少ないレイヤーでプロパティごとに数値を変えてみると、何がどう動くかのイメージを掴みやすいです。
イメージできると、チュートリアル動画などを見たときに、何をしているかが把握でき、自分の作りたいものにアレンジする方法も見えてきます。After Effects難しい…と感じたら、シンプルなところからやってみてください。
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