メールマーケティング開始のための、3つの基礎知識+7つのメール手法【EC運営初心者向け】

ECを含めたWebビジネスでは、マーケティングツールとしてEメールもよく使います。
メールマーケと聞くと、高頻度で要らないメルマガが来る…とネガティブなイメージを持たれるかもしれません。しかし、それは一方的なPRメールの送付の場合。受信者のニーズと利益を考慮すれば、コンバージョン率の向上・ファンが出来るなど様々な効果が得られます。

これからメールマーケティングを始めるために知っておきたい3つの基礎知識、実際のメールマーケティングで使われている7つの手法をサクッと紹介します。

メールマーケティング、3つの基礎知識

メールマーケティングとは

メールマーケティングとは、呼び名の通り“メールを活用した販売戦略”のこと。
メールを通してお客様との関係性・信頼を高め、商品の購入やサービス利用を促したり手法の総称です。

◆メールマーケティングのメリット

  • コストが安い
  • 顧客との信頼関係を築きやすい
  • プッシュ型の販売ができる
  • コンテンツの自由度が高い
  • 効果測定をしやすい

メールは広告出稿とは異なり、レイアウトや扱うコンテンツの自由度が高いです。メールコンテンツは商品の魅力的な画像でも、お客様に役立ちそうなコラムでも何でも良いのです。有益な情報を発信し続けることで、メール受信者を見込み客・ファン化することが出来ます。

広告出稿と比較すると、メール配信にかかる費用も低いので、低コストで客層にあったマーケティングが行いやすいと言えるでしょう。また、メールの開封率やURLのクリック率など数字が取りやすく、効果測定をしやすい=施策の検証・改善もしやすいです。

◆メールマーケティングのデメリット

メールマーケティングのデメリット、懸念として以下3つが挙げられます。

  • 人的リソースが必要
  • スパム判定・ブロックされることがある
  • メールアドレス流出、重複などのリスクがある

メールマーケティングは低コストではあるものの、定期的にメール原稿を作成する・効果測定するなど人的リソースは必要となります。送るメールをユーザー合わせて最適化しようとすると、更に複数のメール原稿を作る手間がかかったり、費用が発生することもあるでしょう。

そのほかに配信メールアカウントがスパム判定を受け、購入通知など重要なメールまで顧客に届かなくしまうリスクもあります。そのほかにTO宛とBCC宛を間違えてメールアドレスが流出した、システムエラーで何回も同じメールが配信され続けた、などのミスも起こる危険性はあるでしょう。

ただし、手間・費用以外の懸念点については、メールマーケ用と重要通知用のアカウントを分ける・信頼できるメール配信システムを使うなどして、ある程度予防はできます。メールマーケティングは低コスト・費用対効果が高く、デメリットが少ないからこそ、現在まで多くの企業が実践している販売戦略と言えます。

特定電子メール法を知る

メールマーケティングはEメールを使ったマーケティング……ですが、メールアドレスを知っているお客様へ好き勝手にEメールを送って良いというわけではありません。

メール送付には「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律 (特定電子メール法) 」という法律を守る必要があります。知らずに法律違反を犯してしまわないよう、最初に特定電子メール法の概要を把握しておきましょう。

第一関門であるオプトインの取得(受信者から事前に同意を得ること)は、下記のリスト収集時に同時に行うようにすると良いでしょう。登録フォームなどで、下記のようなチェックボックスを目にしたことがあるはず。これを、設置するわけです。

画像元:罰則を受けてからでは遅い!オプトインとオプトアウトの違いを把握する

そのほか、送信者情報記載などは、メール文面を作る時に確認しながら進めてください。

Eメールアドレス/ユーザー情報の収集

Eメールアドレス/ユーザー情報の収集とは「メールを送る相手を作る」「そのメールアドレスの持ち主について知る」という意味です。メールマーケティングは、見込み客のEメールアドレスリストがない=メールを送る相手がいない状態では行えません。まずは、見込み客にメールアドレスや基本情報を登録してもらうなど、リスト収集のための施策を積極的に行う必要があります。

Eメールアドレスや基本情報を集める方法として、特典(オファー)がよく使われます
メルマガ購読ボタンにEメールアドレス以外の入力欄があれば不審に思ったり、面倒になって止めてしまいますよね。ですが、特典を用意することでEメールアドレスだけではなく、マーケティングに必要なユーザー情報の入力も行ってくれやすくなります。
リスト収集用の特典として以下4つがよく用意されています。

1.ホワイトペーパー配布

マーケティングの世界で言うホワイトペーパーとは、製品/サービスの機能解説や市場分析、ノウハウなどを文書にまとめたもの。ターゲット層のお客様が知りたい「お役立ち資料」全般を指すと思ってください。

参考:https://www.hammock.jp/whitepaper.html

Web記事やブログで「〇〇資料」「〇〇導入のためのガイドブック」がダウンロード出来るというバナーを見かけたことはありませんか?こうした資料ダウンロードには、Eメールアドレスや姓名・会社名などのフォーム入力が必要なケースが多いですね。

コンテンツ(ホワイトペーパー)を無料提供することで、マーケティングに使えるリストが収集できる、というわけです。無料で欲しい情報を手に入れられるわけですから、もちろんお客様にもメリットはしっかりあります。

2.無料診断

個人のお客様向け、業種によって、無料診断系コンテンツも近年多く使われるようになりました。

診断形コンテンツとは、画面上のアンケートに答えていくと「あなたに似合う色」や「あなたの適正タイプ」などが分かるというものです。ユーザーの操作によってコンテンツが変化する双方向型コンテンツであり、お客様はゲーム感覚で進められるのが魅力。大抵の場合、診断は登録などしなくてもできるので、気軽に試してみる方も多いでしょう。

参考:https://www.softbank.jp/biz/solutions/smb/smartphone-utilization-diagnosis//

Web上には診断コンテンツが沢山ありますが、全ての診断コンテンツがリスト収集のため…というわけではありません。診断コンテンツはSNSでの話題性や拡散狙い、商品の認知度アップ、ヒアリングの代わりなど、色々な目的で設置されています。

3.無料提供(サンプル配布/無料期間など)

Webでも実店舗でも、無料で製品/サービスを使えるという特典(オファー)はよく使われています。例えば、Shopifyにも無料でサービスが利用できる“お試し期間”がありますし、食品や化粧品業界では“無料サンプル”や“試供品”の提供も珍しくありません。

無料でサービスや商品を使用する、という目的のためであれば、ユーザーは快くメールアドレス登録やフォーム入力を行ってくれるでしょう。

参考:https://www.shopify.com/jp

全員に商品やサービスの無料提供ではなく、抽選にするケースもあります。また、「アンケートにお答えいただいた中から抽選で、●名様にAmazonギフト500円分プレゼント」の様にユーザーが求めるものを提示することもあります。

4.割引・クーポン配布

無料ではなく初回価格を設定する、メルマガ会員限定割引・登録特典クーポンなどを配布するパターンもあります。商品やサービスの購入を検討しているユーザーが中心になるので、申込数は少なくとも、質の高いリストを集められる可能性が高いです。

こうした特典を用意して、見込み客のリストを収集するためにはランディングページ(LP)の使用も有効です。特典の素晴らしさ・見込み客にとって有益であることを示すと同時に、登録フォーム入力までの導線を確保するイメージです。

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メールマーケティングで使われる7種の手法

リスト、メールを送るお客様ができたらメールマーケティング開始です。
以下では、メールマーケティングでよく使うわれる7つの手法と特徴、メール制作で参考になる記事をご紹介します。

1.メールマガジン

メールマガジン(メルマガ)は、Eメールアドレスを登録された読者に対して定期的に製品やサービスについての情報発信を行うメール配信形態・マーケティング手法。古くから活用されている手法ですので、メールマーケティング=メルマガを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

メールコンテンツ内容は、ユーザーが商品やサービスに興味を持ってくれるような情報から、お役立ちコラム、商品情報やセール情報まで様々。よくメールは「見込み客の育成」「教育」なんて表現もされますが、まずは“お客様に有益な情報”であることは大前提です。

メールマガジンは、基本的に登録者へ一斉送信するメールを指します。しかし近年では顧客ニーズの多様化に合わせ、読者層にあわせた配信を行う企業もあります。こちらは後記“5.セグメント配信”をご確認ください。

2.ウェルカムメール

ウェルカムメールとは、ストアからお客様にお送りする最初のメールのことです。会員登録をしてくれた時、メールマガジンを購読してくれた時、初めて商品やサービスを購入していただいた時、などのタイミングで送付します。

ウェルカムメールはメールマガジンやプロモーションメールよりも、開封率・クリック率が高い傾向にあります。メールを受信したお客様が行動を起こしてくれやすい、ということですから、ウェルカムメールに力を入れる企業も多いです。

3.ステップメール

ステップメールは、特定の日付を起点に、決められたスケジュールに沿って継続配信するメールマーケティング手法です。起点となる日は、資料請求を行った日、無料会員登録をした日、メルマガ購読開始日などが使われます。ステップメールの1通目がウェルカムメール、というメールスケジュールもあるでしょう。

ステップメールは段階的に情報を配信することで、徐々にお客様の関心を高めていきます。
お客様が興味を持つ内容を、連載記事のようにご案内していくイメージです。

4.シナリオメール

ステップメールと似たメールマーケティング手法で、シナリオメールというものもあります。
シナリオメールは日付ベースではなく、“顧客がとった行動”をメール配信のタイミングに設定します。例えば、資料請求がされたらこのメール、何回以上サイトにアクセスがあったらこのメール…というイメージです。

シナリオメールはお客様によって配信されるメールの種類・順番が違ってくるので、ステップメールのようにストーリー仕立てにはなりません。○○して何日後、と設定するステップメールよりも、より効果的なタイミングでお客様にメールを送付できることがメリット。ただし、メール配信条件がアクセス解析などと結びつくので、希望のタイミングでの配信に対応できないサービスやアプリもある点に注意が必要です。

5.セグメント配信

セグメント配信とは、メール配信リストの顧客を条件別にグルーピングして、それぞれのグループに適したメールを送るメールマーケティング手法。ターゲティングメールと呼ばれることもあります。なお、マーケティングでは、不特定多数の顧客をニーズや属性に応じてグループ分けすることを、セグメンテーションと言います。

年齢や性別、お住いの地域、サービスの利用頻度などで分類することで、それぞれのお客様のニーズにマッチした情報を的確に届けることができます。お客様にマッチした情報が届くことで、開封率やクリック率の向上に繋がるでしょう。メール配信解除率の低下も期待できます。

セグメントメールの中には、商品ページを見たりサンプルを試したけれど購入には至っていないユーザーへ送るリターゲティングメール、一定期間以上アクセスなどがないユーザーに送る休眠発掘メールなども含まれます。

6.パーソナライズメール/レコメンドメール

マーケティング業界でパーソナライズは“ユーザー個人の興味や関心・行動に合わせて最適化する”という意味で用いられます。パーソナライズメールは、お客様それぞれに最適化されたメールをお送りするという手法です。また、パーソナライズ化したメールのうち、お客様の閲覧・購買履歴を元に、興味のある商品やサービスを提示するメールは“レコメンドメール”と呼ばれます。

とは言え、一人ひとりに手打ちでメールを送るわけではありません。
メールコンテンツの一部分に、お客様固有の情報(お名前、閲覧履歴、お気に入りにいれた商品など)を反映させる形でメールを作成します。セグメント配信の精度向上と合わせることで、よりお客様にマッチした内容をお届け出来るでしょう。

興味のある(有益な)コンテンツが配信されることで、お客様の好感度アップや信頼関係の構築にも役立るでしょう。脱スパム扱い、顧客と関係構築を行うコミュニケーション手法として注目されているメールマーケティング手法です。

7.カゴ落ちメール

7つめのカゴ落ちメールは、EC限定で使われるメールマーケティング手法。カゴ落ちとは、商品をカートに入れたものの購入手続きが行われていない(購入前にサイトからユーザーが離脱した)状態を指します。カート放棄、カート離脱とも呼ばれています。

カゴ落ちメールは、カゴ落ち対策のために送るメール、の意味です。
カゴ落ちしたECサイトの利用者に対して「カートに商品が残っていますよ」とお知らせすることで、ストアからの購入を促します。サイトを離れて忘れてしまっている方、他社ショップでの値段比較をしている方などに有効です。

ちなみに、Shopifyではカゴ落ちメール機能が標準搭載されています。
ストアダッシュボードの設定 > チェックアウトとアカウントから設定が確認できます。

スクロールダウンしていくと、決済未完了の通知メールという項目があります。

そのほか、マーケティングオートメーション(マーケティング > 自動化)からは、カゴ落ちメール送信条件などのワークフロー確認・独自での設定もできます。

ただし、簡単に使えるとは言い難く、英語表記も多いので人を選ぶ存在。

より手軽にカゴ落ち対策や、セグメント機能・自動化設定をしたい場合はメールアプリ導入も検討してみましょう。“abandoned cart recovery”などカゴ落ちアプリ、カゴ落ちメール機能もついている“Klaviyo”のようなメールマーケティングアプリと様々なタイプがあります。

メールを使ってグイグイPRすることだけがメールマーケティングではありません。
ウェルカムメールやカゴ落ちメールなどは、メールを作成する手間も少ないですし、お客様に迷惑がられる心配も低いですね。「配信できるお客様が少ない」「コンスタントにメルマガ発行は難しい」という場合でも、取り入れやすいものから試し、効果測定をしてみると良いでしょう。

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