WebデザイナーにAIって必要ですか?

ここ数年、話題のAI(生成AI)。Webデザイナーオワコン説を唱える方もいて、これからWebデザインやWeb制作の学習をして大丈夫か不安に感じることもあると思います。

ある程度のスキルがあるのを前提で、結論から言うと「効率化はするけれど、仕事を奪われはしない」です。WebデザイナーがAIを活用するメリットは多数あるので、AI時代でも仕事ができるWebデザイナーを目指すために積極的に取り入れていきましょう!
AI初心者さん向けに、活用方法を紹介します。

Webデザイナーのお仕事とAIの関係は?

ご質問

最近AIってよく聞くんですけど、特に生成AIとか未来の職業を奪うって聞いて、すごく不安になっています。私はWebデザイナーを目指して勉強しているんですけど、そういうAIってやっぱり勉強した方がいいですか?

何からやれば良いのか?そもそもAIってどのようなものなのかも分かってません。将来のWebデザイナーにとってAIとどうやって付き合って行けばいいか教えてくいただきたいです。

吉田先生の解答

なるほど、最近ほんとーに話題のAIですね。ずばり言いましょう「AIを使うWebデザイナーになってください!」。もうAI、とくにLLM(生成AI)は今までの考え方をすべて変えてしまう破壊力を持っています。ほんと、AIに仕事を奪われるとはよく言われているんですが、それは少し違って「AIを使っている人に仕事を奪われる」ということなんです。

例えばAIを使うことでこんなことが起こります、いやもうすでに起こっています。

  • 生産性が上がります → 今までの数倍の仕事ができます
  • クオリティが上がります → デザイン、コード、マーケのクオリティが格段に上がります
  • 数倍稼げるチャンスがあります → AI使いは多くの仕事ができます

AIを使えるWebデザイナーとそうじゃないWebデザイナーはものすごく差がついてしまいます。これは間違いありません。なので、今のうちにAIを使いこなせる人材になることをおすすめします。

1990年代にWebが出てきた、それ以来の革命的なことが今起こっているのは間違いないです。ところが日本だとまだ10%くらいしかAIを使っていないんですね。今だったらみなさんチャンスですよ!要点をおさえて、AI時代のWebデザイナーを目指してほしいと思います。

AIも活用できるように勉強したら良いんですね!
でも、「AI」や「AIツール」で検索してみたんですが、いっぱいありすぎて、何を使ったら良いかわかりません。。

あやのさん

吉田先生

では、初心者さんに使ってみていただきたいAIサービスや、活用法をお教えしますね。ぜひ実践してみてくださいませ。

そもそもAIって何?何ができるの?

AI(人工知能)とは

AI(Artificial Intelligence、人工知能)は、コンピュータが人間の知的活動を模倣し、学習や推論、判断、そして問題解決を行う技術のことです。もっと簡単にまとめると、自動的に学習し、問題を解決することができるシステムや技術です。

具体的には、膨大なデータをもとにパターンを認識し、予測や判断を行う能力を持ちます。AIは私たちの生活のさまざまな場面で活用されており、スマートフォンの音声アシスタント、自動運転車、医療診断、金融市場の予測など、幅広い分野で進化を続けています。

また、現代のAIは単にデータを処理するだけでなく、データに基づいて新しい情報やコンテンツを「生成」することができます。このため、クリエイティブな分野でもその役割が拡大しています。WebデザインやWeb制作の分野でも、強力なツールとして利用されています。

生成AIとLLMの違いは?

画像、ビデオ、テキスト、音声など、新しいデジタルコンテンツを自動生成することができる技術を総称して「生成AI」と呼びます。

画像元:【生成AIとは】種類・使い方・活用例をわかりやすく解説! | VNEXT HOLDINGS

生成AIの中でも、特に文章の生成や理解に特化したAIがLLM(大規模言語モデル)です。例えば、ChatGPTやClaudeはLLMの一種で、自然な文章を作成したり、質問に対して的確な答えを提供したりと、テキストに関連するタスクに優れた性能を発揮します。

Web制作に関わるAIの7つの機能

AIにはさまざまな機能があり、日常的な作業の効率化からクリエイティブなプロセスの支援まで、幅広く活用されています。WebデザインやWeb制作の分野では、AIをうまく活用することで、手間のかかる作業を自動化し、より高品質な成果物を短時間で仕上げることが可能です。また、マーケティングやコーディングといった関連分野でも、AIの機能が大いに役立ちます。

WebデザイナーやWeb制作に携わる人々が、作業を効果的に進めるために役立つ7つのAI(機能)を紹介します。

1. 文章生成

AIは自動的に文章を作成する能力があります。例えば、ブログ記事、製品説明、SNSの投稿などに使う文章を生成できます。これにより、ライティングの時間を大幅に短縮し、コンテンツ制作の効率を上げることができます。また、SEOに最適化された文章や、特定のターゲット層に向けたコピーライティングの自動化も期待できます。

2. 翻訳

AIはリアルタイムで言語を翻訳する能力もあります。Google翻訳などは、AIが多言語間のテキストや音声を正確に翻訳し、異なる言語間のコミュニケーションを支援します。

3. 音声認識・生成

音声を理解したり、生成するAIもあります。音声認識AIは、ユーザーの発話をテキストに変換したり、命令に従って行動することが可能です。また、音声合成AIはテキストを自然な音声に変換するため、例えば自動音声ガイドやナレーション生成に利用できます。

4. 画像生成・編集

AIは画像の生成や編集に非常に優れています。例えば、DALL·Eのようなツールを使うと、指定したテーマやスタイルに基づいて新しい画像を作成できます。また、Photoshopなどに搭載されているAI機能を使えば、画像の一部を自動で修正したり、背景を消すといった作業が簡単に行えます。

5. コーディング

ChatGPTのような生成AIは、HTMLやCSS、JavaScriptなどのコードを自動で生成し、基礎的なウェブサイトの作成をサポートします。初心者でも簡単にウェブサイトの骨組みを作ることができます。また、書いたコードのエラーを見つけて修正提案を行ったり、より効率的なコードの書き方をアドバイスしてくれます。

6. 自動化

繰り返し行われる作業や時間のかかるタスクを自動化するのもAIの得意分野です。例えば、メールの自動返信やデータ入力の自動化、タスク管理ツールでのスケジュール設定など、ビジネスにおける効率化が図れます。

7. データ解析・予測

AIは大量のデータを高速で解析し、そこからパターンや傾向を見つけ出します。例えば、Webサイトのアクセスデータを解析して、ユーザーの行動パターンを予測したり、効果的なマーケティング戦略を提案することができます。

Webデザイナーにオススメの生成AI・AIツール

基本はChatGPT, Claude, Giminiの3つ

初めて生成AIを使う方には、LLM(大規模言語モデル)のChatGPT、Claude、Geminiの3つがおすすめです。これらのAIは、幅広いタスクや質問に対応できる汎用性が特徴で、文章作成、質問応答、アイデア出し、コーディング補助など、さまざまな場面で活用できます。また、テキストだけではなく、画像生成やSVG描画にも一部対応しています。

例えば、ChatGPTは、自然な会話や文章生成が得意で、アイデア出しや質問に答えるときに役立ちます。Claudeはコードを自動生成したり、簡単な説明文を素早く作るのに便利です。そして、Geminiは正確で信頼性の高い情報を提供してくれるので、リサーチや事実確認が必要なときにおすすめです。

これらのAIはそれぞれ特徴があり、用途に応じて使い分けることで、効率的に作業を進めることができます。どれも無料で試すことができます(使える回数や機能に制限はあります)。まずは試してみて、自分のやりたい作業に合ったものを見つけてみましょう。

ChatGPT

https://chatgpt.com/

ChatGPTは、OpenAIが開発した対話型の生成AIで、自然な会話のやり取りや文章生成を得意としています。 多くのトピックに対応できるため、質問や相談、コンテンツのアイデア出し、コーディングのサポートまで幅広い用途で活用されています。有料プランではDALL-E 3を使った画像生成にも対応しています。

  • 強み:広範な知識ベースと自然な対話能力
  • ビジュアル表現:DALL-E 3を通じて画像生成が可能
  • 活用例:アイデア出し、質問への回答、コーディングの補助、テキスト生成

Claude

https://claude.ai/

Claudeは、Anthropicが開発したChatGPTに似た対話型の生成AIで、ユーザーの指示や文脈を簡潔かつ安全に処理することを重視しています。迅速でシンプルな回答が求められる場面や、正確な情報提供が必要な作業に強みがあります。特にコード生成や修正提案が得意です。
また、ClaudeはSVG描画機能を持ち、チャートやグラフなどの視覚要素を生成し、複雑な情報を視覚的にわかりやすく表現することができます。

  • 強み:簡潔で迅速な回答、指示に忠実な処理
  • ビジュアル表現:画像生成機能はないが、SVG描画機能があり図表作成が可能
  • 活用例:コーディングのサポート、効率的な質問対応、短い説明や提案

Gemini

https://gemini.google.com/

GeminiはGoogleが開発した次世代の生成AIで、特に情報の正確性と信頼性に重きを置いています。高度なテキスト解析や情報の生成能力を持ち、Googleの検索エンジンの技術を基にした高精度な回答が得られます。デザインやマーケティング分野でも、ユーザーにとって有用な情報を提供するのに適しており、特に信頼性が求められるタスクに強みを発揮します。

  • 強み:情報の正確性、信頼性の高い回答
  • ビジュアル表現:英語なら可能
  • 活用例:リサーチ、マーケティング情報の提供、正確なデータや事実に基づく文章作成

ちなみに、Geminiで画像生成はできる・出来ない両説ありますが、当記事執筆時点(2024年9月)では英語で指示をすれば可能でした。その前に日本語で聞いたら“私はテキストベースのAIです。そちらに対応できる機能がありません。”と答えてきたあたり、ちょっと不親切。

デザイン作業に役立つAIツール・AI搭載アプリ

Adobe Photoshop/Illustrator

Adobe製品もここ数年、生成AIが導入・強化されています。CMなどでも放映されている代表格であり、個人的にもよく使っているのがPhotoshopに搭載された「Generative Fill(生成塗りつぶし)機能」。

使いたいサイズに足りなかった画像を、拡張したり。

実写とイラストを配置して、その間を埋めてくれたりと、なかなか便利。

詳しい機能については、下記事で紹介しています。

一方、Illustratorの方は「テキストからベクター生成」がプッシュされています。一般的な画像生成AIは、ラスタデータ(JPEGやPNGなど)での書き出ししか出来ませんが、ベクターデータなら再編集が可能。色や大きさを変えたり、好きなように配置を直したりできるのが画期的と言えると思います。

ただし、こちらはBeta版で、実用性としてはまだイマイチ。なかなか思ったような画像を生成してくれなかったり、細部が汚くなっていたりします。生成再配色なども含め、Illustrator付属のAI機能は、もう少し進化を待つ必要があると個人的には思っています。

Adobe Firefly

Adobe Firefly(Firefly web)は、Adobe社によって提供されている画像生成AIサービスです。Webアプリ版として「テキストから画像作成」「生成塗りつぶし」が、無料版でも毎月25クレジットまで利用できます。なお、Creative Cloudを単体でもコンプリートでも購入していれば、追加でクレジットが付いてきているので、あまり気にせずに使えます。

URL:https://firefly.adobe.com/

画像生成AIはよく著作権の問題が取り沙汰されていて「使うの怖いな…」という方も多いと思いますが、Adobe Fireflyは著作侵害のリスクが極めて低いことも特徴。Adobeが以下のように明言しています。

Adobe Stock、オープンライセンスのコンテンツ、著作権の切れた一般コンテンツのデータからAI画像を作成しているため、安心してご利用いただけます。

出典:Adobe FireflyとMidjourneyの比較:Fireflyがどのように制作をスピードアップさせるか

Magician(Figma)

ウェブデザインやモバイルアプリのデザインによく利用されている、クラウドベースのデザインツールFigma。AIプラグインも多くリリースされています。アイコンや画像を生成してくれる「Magician」や、テキストを元にワイヤーフレームを作ってくれる「WireGen」などが代表的です。


FigmaのAIとは?便利なAIプラグインも紹介
URL:https://blog.cloudseed.co.jp/2024/05/31/figma_ai/

Canva

無料から利用できる、多機能なオンラインデザインツールの Canvaにも、以下のような生成AI系の機能が搭載されています。画像・映像関係の有名AIツールと一通り連携しているようなイメージですね。ただし、無料で使えるものと、Canva Proのみ使用できるもの、生成数に制限があるものなど様々な点にだけ注意。

  • AI画像生成(Text to Image)
  • AI文章作成(Magic Write)
  • AIナレーション(D-ID AI Presenters)
  • AI音声生成(Murf AI)
  • AI消しゴムマジック(Magic Eraser)
  • AI音楽生成(Soundraw)
  • AIアバター(HeyGen)
  • AI翻訳
  • AIデザイン加工(Magic Edit)

CanvaのAI機能がさらに拡充!デザインの作業効率を劇的に上げるAI機能をまとめて解説
https://www.canva.com/ja_jp/learn/ai-features/

【Webデザイナー向け】生成AI・AIツール活用例

生成AIは、Webデザイナーにとって非常に便利なツールです。面倒な作業を自動で処理してくれるため、デザインのクリエイティブな部分に集中できるようになります。これらのAIツールをうまく活用することで、デザインのスピードが上がり、スキルアップにもつながるでしょう。

アイディア出し

デザインやコンテンツ制作の最初のステップであるアイデア出しには、AIが大きな助けになります。ChatGPTClaudeを使えば、テーマに沿った新しいアイデアやコンセプトを短時間で生成することができます。たとえば、Webサイトのデザイン案や配色の提案、レイアウトのアイデアなど、AIが豊富な選択肢を提供してくれます。アイデアを膨らませるためのヒントがほしいときにも、このようなAIツールが便利です。

ChatGPTをデザインで活用できるのか デザイナーがその可能性を探ってみた
https://f4.cosmoway.net/chatgpt_design_tutorial/

また、Midjourneyなどの画像生成AIを使って、デザインそのもののアイディアやヒントを探す方法もあります。漠然としたイメージを具体的にする、デザインの方向性を決めるのに役立ってくれるでしょう。Webデザインっぽい画像は生成できるものの、納品するデザインファイルにはなり得ない点にだけ注意してください。

Midjourneyを1年間使って見つけた、Webデザインに使えるプロンプト全ガイド
https://photoshopvip.net/153410

コーディングのサポート

Webデザインでは、コーディング作業が必要になることがあります。そんなときに役立つのが、ChatGPTClaudeです。これらのAIを使うと、HTMLやCSS、JavaScriptなどのコードを自動的に生成してくれるので、初心者でも簡単にWebサイトのベースを作ることができます。デザインの画像を添付するだけでも、結構しっかりコードにしてくれます。

さらに、上手くいかないところを聞けばコードのミスを検出し、修正する提案もしてくれます。100%正解・良いコードを出してくれるわけでは無いので、もちろん基礎知識はあったほうが良いですが、学習にも、実際の制作でも効率アップに役立ってくれるでしょう。

Claude 3とGPT-4のコーディング性能を比較!
https://liginc.co.jp/blog/tech/642558

デザイン作業のスピードアップ

WebデザインそのものにもAIは大きく役立ちます。たとえば、ChatGPT(有料版)で使えるDALL·E 3やAdobe Fireflyを使うと、オリジナルの画像をすぐに作ることができます。商用利用可能の画像素材を探すより手っ取り早くデザインのアイデアを形にでき、プロジェクトを素早く進めることができます。

また、ClaudeのSVG機能を使えば、ベクター画像も簡単に生成できます。コーポレートサイトやPLなどのデザインで、地味に時間がかかるのが、概念図やインフォグラフィックス寄りの説明図作り。AIだけで完璧には無理でも、デザインのベースができるだけでかなりの時短になります。ベクター画像なら、Illustratorなどで調整できますしね。

Claude 3.5 Sonnetの進化を体感してみた
https://zenn.dev/acntechjp/articles/711642473bb502

デザインテンプレートを使った効率化

デザインツールとして人気のあるCanvaFigmaでもAIが使われています。これらのツールでは、AIがデザインのテンプレートを提案してくれるので、デザインの初期段階を簡単に効率化できます。例えば、Canvaだとマジックデザイン(Magic Design)という機能が、話題になりました。

【Canvaの使い方】チラシやポスター、プレゼン資料のデザインを自動生成!マジックデザイン機能の使い方
https://www.asobou.co.jp/blog/web/magic-design

今後AIを活用するための勉強方法

AIを効率的に活用するための第一歩として、まずはChatGPTの有料版、ChatGPT Plus($20/月)を使うことをおすすめします。

ChatGPTは無料版でも基本的な機能は試せますが、有料版ではより多機能で高精度なAIを体験することができます。例えば、有料版では、DALL·Eを使って画像生成が可能になったり、より複雑で精度の高いチャットを利用できる点が大きな利点です。

実践方法

AIを使いこなすためには、実際に試してみることが重要です。具体的な例として、まずはコードを書いてもらうことを試してみましょう。例えば、AIにコーディングして欲しい画像をアップロードして、簡単なHTMLやCSS、JavaScriptのコードを生成させます。AIが作ったコードを基にWebサイトを作成することで、コーディングの効率化を体験できます。

ChatGPTに画像を認識させてHTML&CSSコーディングを自動化
https://www.webcho.net/web-production/chatgpt-html-css-editor/

次に、サムネールを作成するなど、デザイン面でもAIを活用してみてください。
ChatGPTの場合ならDALL·Eで、簡単な指示でオリジナルの画像やデザインを生成できます。

ChatGPTを使ってメディアのアイキャッチ画像を生成
https://www.pressman.ne.jp/archives/22398

更にターゲット層(ペルソナなど)や、押し出したいメリットなどを伝えれば、キャッチコピーや、広告の文言も考えてくれます。生成した画像と組み合わせれば、作業時間を短縮してアイキャッチや広告バナーなどの作成もできるでしょう。

こうした実践を通じて、AIの力を最大限に引き出し、日常の作業にどのように役立つかを考えていきましょう。ちなみに、画像生成ができるだけではなく、同じ質問しても、有料版と無料版では回答のクオリティが違うことも多々あります。一回は有料版を試してみるのがオススメですよ。

吉田先生

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